「島カフェ」で訪れたくなる島へ 直島を事例として
広がりを見せるカフェ文化
直島
昨年、話題となった発言のひとつに、「スタバはないけど、日本一のスナバ(砂場)はある」と、隣県に大手コーヒーチェーンが出店し、都道府県で店舗がないのが鳥取県だけになったことを受けての平井伸治鳥取県知事の発言がある。今や、この発言が大きく注目され、ニュースになるほど、日本におけるカフェ文化は一般に広く受け入れられ、地方にも広がりつつある。さらに、このカフェ文化の広がりは、消費者の嗜好の多様化により、カテゴリーがより細分化され、島カフェという新たなカテゴリーを産み出すに至っている。
本稿では、瀬戸内海に浮かぶ直島で、カフェを経営している著者らの経験から、直島を事例として、近年、増加傾向にある島カフェについて、その現状と課題について述べたい。
現代アートで注目される直島
はじめに、著者らがカフェを経営している直島を紹介したい。
香川県直島町にある直島は、香川県高松市から北へ約13キロ、岡山県玉野市から南へ約3キロの備讃瀬戸に浮かぶ島で、大小27の直島諸島の中心に位置する。直島本島は、東西約2キロ、南北約5キロ、周囲約16キロ、面積は8.13平方キロで、人口は3,174名(2014年4月1日現在)の小さな島であり、近年では、瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸という)を開催するなど、「現代アートの島」として、日本国内はもとより海外からも注目を浴びている。
直島における現代アートは、ベネッセアートサイト直島が中心となり展開している。その中核を成す施設として1992年にはベネッセハウスが開館、1997年には本村地区において古民家や神社を現代アートとして再生する「家プロジェクト」が始動し、さらに2004年には地中美術館がオープンした。家プロジェクトでは、「角屋」、「南寺」、「きんざ」、「護王神社」、「碁会所」、「石橋」、「はいしゃ」と作品が順次増えており、現在、直島に継続的に観光客を引きつける要因のひとつとなっている。
直島を訪れる観光客数の変化(直島町観光客等入込数動態調査より)
その結果として、直島町観光客等入込数動態調査によると、直島を訪れる観光客数は、 34.2万人(2008)、36.1万人(2009)、63.7万人(2010)、40.5万人(2011)、42.8万人(2012)、70.5万人(2013)と、瀬戸芸が開催された2010年ならびに2013年は特例としても順調に増加している。
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