観光資源としての城 「個性」を生かした活用プラン

萩原さちこ城郭ライター、編集者

城の楽しみ方は自由

 城を楽しむ人が急増している。
 これまでは歴史好きな中高年男性の聖地というイメージが強かったが、ここ数年は旅好きの若い女性、余暇を楽しむアクティブなシニア世代も増えた。知的好奇心を満たす健康的な趣味として、城は注目のエンターテインメントなのだ。

 そもそも城は身近で、観光資源として無限のポテンシャルを秘めている。城といわれてまったくイメージできない日本人はいないだろうし、旅行や出張のついでに訪れる機会も多い。全国各地に必ずあり、主要な城であれば交通の便もよく、老若男女を問わず楽しめる。“ついで”に訪れるサブ的な位置付けから観光の“目的地”に昇格の兆し、といってよいだろう。

 こうした背景から、近年では観光資源としての見直しや、城を活用したまちづくりに積極的に着手している行政も多い。この動きはますます加速していくはずだ。

2015年3月に大天守が再公開され話題になった姫路城(兵庫県姫路市)。12月には入城者数が222万人を突破し、2015年度の予想180万人をすでに上回っている
2015年3月に大天守が再公開され話題になった姫路城(兵庫県姫路市)。12月には入城者数が222万人を突破し、2015年度の予想180万人をすでに上回っている

 観光客が多様化した理由は、楽しみ方の自由化だろう。
 歴史を知らないと楽しめない、という固定観念が取り払われ、それぞれの視点・感性で城を楽しむようになったのだ。

 城の楽しみ方は千差万別だ。建物の造形美に心揺さぶられる人もいれば、築城者・時期が特定できる石垣に魅了される人もいる。軍事施設たる防御の工夫に興奮し、先人の知恵や技術に感嘆させられる。合戦の舞台や武将ゆかりの城を訪れるだけで感極まるし、立地、地形、設計、役割から城を解き明かすのも面白い。

 商業・流通・経済という観点から見ても唸らせられるものがあり、また食文化や伝統工芸、風習との関わりも深い。最近では、山城(山を城地にした城)の注目度も高く、ハイキング・登山ブームから移行した若い女性、健康維持を目的とする中高年・高齢者に出会うことも少なくない。

 つまり、自分なりの着眼点や共通項を見出せるようになったことで、観光客と城の距離がぐっと縮まったのだ。城は四季折々の景観も魅力であるから、また訪れたいという中毒性も持ち、リピーターを取り込む要素も大いにあるといえよう。

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