出前講座「英語少し通じます」で町の商店街に外国人観光客を 東京都品川区
一軒一軒「出前」で実地研修を
第2回 戸越銀座の婦人服店で
プログラムの基本的な手法は、講師2人がお客様となって店舗を訪問し、そのお店に合った会話を実際に行うというもの。講師の1人は一見して外国人と分かる容貌の方、もう1人は日本人というペアである。2人の本業はともに英会話学校の講師で、英語も日本語も堪能な方だ。現場ではこの講師がお客様となり、語りかけることで会話がはじまり、日本人講師がサポートするという形式をとる。
台本によれば、お店側の最初のセリフは日本語で「いらっしゃいませ!」
次が「Hello!」となっている。
笑顔で大きな声で、ただしお辞儀はしない。これは、「ほとんどの国にお辞儀の習慣がないため」などのポイントが書かれている。
そしてMay I help you ? が出ればもう大丈夫。
後は、
What does it taste like?(どんな味がするのですか)
It’s salty. / It’s spicy. / It’s sweet(しょっぱいです。辛いです。甘いです。)
Do you have / a larger size? / a smaller size ? / a red one ?
(大きいサイズ/小さいサイズ/赤 はありますか?)
Yes, we do. / Sorry, I don’t.(はい、あります。/ごめんなさい、ありません。)Can I try them on?(試着できますか)
Yes, over there.(はい、あちらでどうぞ。)
などごく基本的な会話が続き、それぞれのお店にあった会話がその場で追加されていく。一店舗ごとの時間はおおむね15分から20分程度。たったそれだけで大きく変化するそうだ。
スタッフの心と力量が核になる
第3回 立会川駅前通り繁栄会では88歳の店主も参加
「実践される会話の内容はそれほど難しい内容ではありません。ただ、お店ごとに商売内容が違うため、みんな少しずつ会話の内容も変わります。また、短時間で集中的に取り組むことで大きな効果が期待されるため、講師の人格がとても重要なのです。協力いただいている講師のお2人は性格が明るくて優しく、短い時間内にとてもうまく相手の心の中に入り、いいところを引き出すことが上手な方なのです」と河内崇協働・国際担当課長は語る。
やってみて強く感じたのは、やはり講師の力量が成果を大きく左右するということ。今の講師2人は、固くなりがちな相手に早く打ち解け、気持ちを和ませるのがうまい。参加者に短い時間で「自分にもできる」と思わせることが大切なため、バイリンガルならだれでもできるということではない。3回目の立会川駅前通り繁栄会では、80歳を超えた店主さんも参加されたが、すぐ打ち解けて楽しそうに会話が進むようにできた。マニュアルだけではできない、会話のプロが心を込めた仕事をしてようやく成果が出せる取り組みなのである。
実際、研修の後に「楽しかった、私も英会話学校に通ってみようかな……」などの反応があちこちで聞かれるそうだ。
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