ゆったり滞在でさまざまな大阪に触れてほしい HOSTEL 64 Osaka島林峰子さんに聞く
用途変更のハードル
ロクヨンは順調に開業したかのように見えるが、古いビルの事務所を旅館に用途変更する事例は今回が初めてで、さまざまな法律のハードルが立ちはだかったという。
このビルは、オーナーが代わる過程で用途変更に必要な書類が紛失し、確認申請台帳「証明書」と新築時の「設計図」しか残っていなかった。そのため手持ちの資料を使って、市役所に合法の建物だということを何度も説明しに行ったという。さらに、旅館に適した場所なのかを問われる「旅館業法」でラブホテルに利用することを疑われたことや、火災時の避難が問われる「消防法」など、法律のハードルをクリアするため多くの時間を費やされた。
近年、訪日外国人の増加により、ホテルなど宿泊施設に泊まる外国人の延べ宿泊者数も激増している。観光庁「宿泊旅行統計調査」によると2014年1月~12月の外国人延べ宿泊者数は4,482万人泊で、国内宿泊における外国人の割合は9.5%。2015年8月には10.8%に上昇しており、今後も宿泊ニーズは増えることが予想される。
日本政策投資銀行の「古民家の活用に伴う経済的価値創出がもたらす地域活性化」では、宿泊ニーズを打開する策の一つとして「古民家の観光への活用」についても考察しているが、その課題として、ロクヨンの事例からも言えるように、今後はホテル・旅館を開業するにあたり、既存の建物を転用しやすくする法的整備の必要があるのではないかと指摘されている。
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