忍者の可能性

山田雄司三重大学人文学部教授

2016.05.20

忍者の「クールジャパン」と「地方創生」

 このような「見せる忍者」は、1973年にブルース・リー主演で大ヒットした「Enter the Dragon(燃えよドラゴン)」を受けて1981年に制作された「Enter the Ninja(燃えよニンジャ)」が全米で大ヒットしたことによって確立された。
 派手なアクションと奇抜な術を駆使するNinjaは日本に逆輸入され、各地で行われる忍者ショーに取り入れられた。

忍者衣装を着た外国人観光客
忍者衣装を着た外国人観光客

 1980年代以降、常人の能力を超えた「かっこいい」忍者が定着した一方、今回の忍者ブームでは、伊賀忍者・甲賀忍者・紀州忍者・小田原忍者といったように、日本の各地方がそれぞれ個性ある忍者を打ち出しているところに特色がある。
 これまではどこの忍者という設定はほとんどなかったのに対し、今回は地方固有の忍者がそれぞれ独自性を競っている。
 これは政府が打ち出している、東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げようとする「地方創生」と合致している。戦国時代から江戸時代にかけて、忍者は各大名の配下で使命を果たしたので、全国に存在していたと言っていい。
 そのため、各地域がそれぞれの忍者によってまちおこしができる可能性を秘めているのである。

 

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