暮らしぶりを磨き上げ、価値を高める地域の編み方 〜「短命県」も「剪定」も魅力ある観光コンテンツにする思考法〜
観光人材育成合宿の講師として登壇する連合メンバー。地域課題解決や人材育成にも取り組んでいる
地域に必要なのは「暮らしぶりの糸を紡ぐ編集者」
「地域ならではの暮らしぶり」こそが極上の観光コンテンツだが、地域に暮らす人が一番その価値に気づいていない。これが地域の課題だ。まずは地域に暮らす我々が「暮らしぶりの価値」に気づくこと。新たに何かを作るのではなく「もともとあるものを活かす」こと。言い換えるならば「地域の魅力を再認識し誇りを持つ」こと。すると青森県全体の「おもてなし力」が自然と向上するのではないか。青森県全体の「稼ぐ力」が向上するのではないか。これは青森に限らず、全国どの地域でも同じことが言える。
さらに、「青森県は良い所ですよ」と言うだけでは観光客はやってこない。地域の知名度が上がると自動的に観光客が増えてお金を使ってくれるわけではない。それにもかかわらず「地名」を前面に出して「知名度」を上げようとする自治体が全国にはまだたくさんある。際立たせるべきは地名ではなく「価値」だ。何月何日にどこに集まって、いくら支払えば何ができるかと言う「商品=プロダクツ」にして打ち出し、地域にきちんとお金が落ちる仕組みを作ることが大切。場所ではなく「何がそこにあるのか、そこで何ができるのか、そこに誰がいるのか」に旅人は興味がある。そして、最も大切なのは信頼関係。「あの人に相談すれば大丈夫」という人が地域にどれだけいるか。つながりの連鎖こそが交流人口を生み出す。地域の価値に気づき、その価値を紡いで物語を編んで商品を作り、暮らしぶりを伝わる様に語ることができる「地域の編集者」の存在が不可欠。まず自分自身が地域の編集者になろうと決め、2012年に創業したのが「たびすけ合同会社西谷」だ。
青森から東北のあるもの活かしを展開する一般社団法人東北インアウトバウンド連合発足
「地域のあるものを活かしたツアー」をたくさん造成してきているが、3年程前から「青森県」という枠の捉え方よりも「東北」というスケールで事業展開したいと考え始めた。観光客の多くは周遊する。特に外国人観光客が増えている中、例えば「フランスから来ました! 日本に3週間滞在します! 青森だけに滞在してフランスに戻ります!」という旅行者がいるとは考えにくい。東北6県というスケールで地域を編集し、商品造成する必要がある。しかしそれは、とても1人でできることではない。そんな中、最高の仲間たちと運命的に出会い、2016年秋に設立したのが「一般社団法人東北インアウトバウンド連合」だ。アドバイザーには世界レベルで活躍している方々に就任していただいた。その背景には「東北の事を、東北の人間が主体的かつ継続的に実行してく」という覚悟と想いがある。
インバウンドと聞くと「外国人」と思いがちだが、言葉の意味を紐解くと「内に向かってくる」だ。外国人に限らず、まだ東北に来たことのない日本人もどんどん訪れていただけるような環境を整えて行くことが大切。同時に東北の良い物を外に発信していく「アウトバウンド」も大切。東北のあるものを活かし、編集し、発信していく。舞台は日本、そして世界だ。準備は整った。東北の快進撃はこれから始まる。
リンク:たびすけホームページ
リンク:西谷雷佐ブログ
リンク:東北インアウトバウンド連合
■著者プロフィール
1972年生まれ、青森県弘前市出身。
2012年、着地型観光に特化した旅行会社「たびすけ」を創立。「りんご剪定体験ツアー」「短命県体験ツアー青森県がお前をKILL」等、地域の暮らしぶりに注目したユニークなツアーを多数企画実施。
近年は「着地型観光」「インバウンドとDMO」「気付く力と発想力」「縁活コミュニケーション」等のテーマにて、年間90回程全国で講演やコンサルティングを行っている。
2016年、東北の仲間たちと「一般社団法人東北インアウトバウンド連合」を創立、理事長に就任。
2018年、「株式会社インアウトバウンド仙台・松島」を創立、代表取締役に就任。
青森県のみならず「オール東北の視点」で観光推進と地域活性化に取り組んでいる。
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