暮らしぶりを磨き上げ、価値を高める地域の編み方  〜「短命県」も「剪定」も魅力ある観光コンテンツにする思考法〜

西谷雷佐たびすけ合同会社西谷代表 株式会社インアウトバウンド仙台・松島代表取締役 一般社団法人東北インアウトバウンド連合理事長

2018.03.12青森県

暮らしぶりを磨き上げ、価値を高める地域の編み方 〜「短命県」も「剪定」も魅力ある観光コンテンツにする思考法〜
参加者が弘前城で忍者と戦う「青森刀剣ツアー」

事実の先に「意味・理由」を添え、「価値」を生み出す

 まずは何気ない日常の中にある魅力に気づくことが大切。しかし、気づくだけではただの「面白い視点の人」に過ぎない。商売をする以上、その気づきを「商品=プロダクツ」にしなければならない。気づきを具現化し「りんご農家の暮らしぶりを訪ねる旅シリーズ」や「短命県体験ツアー青森県がお前をKill」「青森刀剣ツアー」「青森石拾いツアー」等が商品として誕生した(興味のある方は私のブログを読んでみて欲しい)。しかし商品になったら自動的に売れるわけではない。販売戦略はもちろん大切だが、それよりも商品の魅力と価値が、参加した時にきちんと「伝わる」表現になっているかが大切だ。人は事実だけでは感動しない。だがガイドの多くが“事実”だけを伝える傾向にある。「伝える」と「伝わる」は全く別物。ガイドが「伝えた」つもりでも、相手に「伝わっていない」ならば、それはゼロと同じだ。

 事実の背景にある「意味・理由」が伝わることによって、情報と体験に「価値」が生まれる。価値が伝わるか否かで旅の印象はまったく変わる。情報はガイドブックでもwebでも得ることができるが、現地の人から聞くのとでは感動の度合いが異なるのは明らかだ。地域の魅力を語る「ガイド」がその地域にいるかいないか。これが今後の観光産業における大きなポイントになる。ガイドは観光の専門職である必要はない。レストランのシェフも、商店街のおじさんも、まちを歩く主婦も、そしてもちろんりんご農家も、みんな地域のガイドなのだ。

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