「九州は一つ」を合言葉に 観光の力で震災復興を伝える
復旧工事が進む大小天守閣 写真提供:熊本城総合事務所
2016年4月に発生した熊本地震からすでに1年8ヶ月以上が経った。1日も早い復興を目指す中で改めて「九州は一つ」の意識が高まったという。「ふっこう割」後はおもてなしに力を入れ、「九州からありがとうキャンペーン」を展開。また地域においても復興の過程を積極的に見てもらう「震災復興ツーリズム」という観光資源も生まれてきている。
本レポートは、九州全体の観光発信をリードする九州観光推進機構でうかがったお話に、熊本市から阿蘇熊本空港、阿蘇山周辺、宮崎県の高千穂までを実際に車で巡り、そこで見た現状を加えて報告する。
<取材協力>
一般社団法人九州観光推進機構(KTPO)副本部長・緒方保宜氏、九州観光広報センター次長・大石邦嗣氏、同次長・濵﨑隆氏
熊本城総合事務所(熊本市)
左から、濵﨑隆次長、緒方保宜副本部長、大石邦嗣次長
復旧する道路交通網
震災では道路交通などをはじめとしたインフラなどに大きな障害が発生したが、一部を除き、交通機関は比較的早い時期に復旧が進んだ。現在、まだ工事中の区域は存在するが、これら地域を車やバスなどで周遊することに大きな支障は感じられなくなっている。
最も交通の被害が大きかった阿蘇地区でも、熊本市から益城町にある阿蘇熊本空港周辺、その先の阿蘇山南部を経て高千穂方面へ向かう国道57号~325号ルートは復旧が進み、一部迂回をすることでほぼどの観光地にも行くことが可能になっている。
阿蘇山の北側を周遊するルート部分では、国道57号等に通行できない部分は残るが、やはり一部を迂回することで阿蘇山上部まで登ることができる。山上に近い「草千里」なども落ち着いた風情をとりもどし、観光バスなども多数詰めかけていた。隣接する「阿蘇火山博物館」などは、地震を契機に人気が高まっているとのことだった。
なにより、周辺自治体が交通網の情報を収集し、「今役に立つ周遊マップ」を発信している。例えば南阿蘇村のホームページにあるマップには、熊本市から向かう国道57号長陽大橋ルートが2017年8月27日に開通したことなどが描き込まれ、その先の工事区間を抜ける迂回ルートが克明に示されている。常に最新の情報で周遊が可能になっているといえよう。
広域的にみれば、九州自動車道に加え、2016年に東九州自動車道が北九州から宮崎まで開通したことも大きな力となっているだろう。
長陽大橋開通記念イベント 写真提供:九州観光推進機構
草千里周辺
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