「岐阜の宝もの認定プロジェクト」から考える地域資源の可能性
認定事業の副産物~劇的に変化した宝もの第1号「小坂の滝めぐり」
下図をご覧ください。「岐阜の宝ものプロジェクト」認定前の主な県内観光地が記されているのが左側で、右側がプロジェクトを経て多数の地域資源を見出し観光資源化した2014年の図です。
以前の県内観光地(左)とプロジェクト後の観光資源(右)分布図
こうして見てみると、当初は県内に<点在>していた観光地が、県内東西南北に広がり、面としてさまざまな旅のルートが描けるようになったことが分かります。
その中で、事業の深度化に伴い地域の意識が劇的に変化していった事例として、岐阜の宝もの第1号に選ばれた「小坂の滝めぐり」をご紹介します。
岐阜の宝もの第1号「小坂の滝めぐり」
小坂の滝
調査初年度の初夏、岐阜県下呂市小坂町の現地に数名の審査員とともに赴きました。
下呂温泉から車で30分程、御嶽山の麓、溶岩流で出来た巨大な絶壁があり、「飛騨小坂200滝」という高齢者を中心としたNPOの方の導きで遊歩道の階段を降りて行くと、目前に轟音を立てた巨大な滝が現れました。その美しさ、大自然にすっぽり包まれるような心地よさ。
滝に至る階段や小道もスリル満点ながらもNPOの方々の手で安全に整備されており、その先には、まだ200以上の滝が存在し、それぞれの個性を生かした滝めぐりができるコースづくりもされていました。その地道な活動と資源の素晴らしさは「岐阜の宝もの」に他ならない! ということで、審査員全員一致で第1号に選びました。下呂温泉からたった30分というのも、新しい観光地づくりの条件に合致するもので、この素晴らしい自然資源を、いち早く、でも丁寧に観光資源化しようと決心しました。
女子旅向けモニターツアー
そのためには地元の方々の意識改革の必要性を痛感し、世界的に有名なアウトドアメーカーのプランナーにこの場所の素晴らしさや観光資源化への可能性を人々に向けて語っていただいたり、都会の若い女の子たちを集めた滝めぐりのモニターツアーを頻繁に実施し、楽しそうにお茶会をしている姿を可視化するなど、新しい景色の誕生や可能性が地元の方々に実感できるよう心がけました。
その他、地元の子どもたちへの体験学習への利用、ガイド養成講座の実施、閉鎖されていた冬期事業の開発、地産地消の食やお土産開発、拠点の整備、周辺地域の調査・開拓など、さまざまなブラッシュアッププログラムを実行しました。
こうして3年間程かけて、プロのガイドも誕生し、小坂の滝という素晴らしい自然資源を小さいながらも経済活動の伴う観光資源や観光商品として国内外に発信していけるようになり、来訪者数も倍増しました。若手ガイドの養成にも取り組み、まだ少数ですが後継者ガイドも小坂に移住し活躍しています。
そういった変化はNPOだけに留まらず、地元の安心、安全な食材を生かした郷土料理で訪問者をもてなす会や、地元の民話を集め、郷土館の囲炉裏で、紙芝居で宿泊観光客をもてなす女性の会なども誕生しました。現在は地元行政とも連携し、小坂周辺にある湯屋温泉、下島温泉、濁河温泉などにも滞在できる長期滞在型ウェルネス・プログラムを開発しようという動きも生まれています。
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