訪日中国人観光客の求める日本旅行
低い訪日中国人の満足度
観光庁の「訪日外国人消費動向」2014年4~6月の調査によると、訪日外国人の満足度と再訪意向の結果は、「大変満足」50.6%、「満足」42.8%で、中でもフィリピンや英国、フランス、米国、カナダ、オーストラリアでは「大変満足」の割合が8割超と高い。また、日本への再訪意向の項目では、「必ず来たい」が58.1%、「来たい」が35.3%である。「必ず来たい」の割合が最も高いのはフィリピンの78.8%、続いて、マレーシアやベトナム、インド、英国、フランスでも同割合が7割超だという。しかし、その中で訪日中国人の満足度(「大変満足」)は39%、再訪意向(「必ず来たい」)は49.5%で、満足度も再訪意向も、他の外国人よりもはるかに低いことが分かった。
経済的に最も貢献した国の人々の満足度、再訪意向が低いことについて、説明するのは難しいが、現時点に限って言えば、日中の国際観光は国家関係のパラメータであることを示唆してくれたと言わざるを得ない。
心からの歓迎を
私は訪日中国人が求めるものは、日本と日本人の心からの歓迎だと思う。ある時、訪日した友人の一人は、これが最初の訪日で、最後の訪日だと言っていた。その原因は滞在の間、中国人だからと冷たく、差別されたそうである。非常に残念なことであるが、ぜひ日本の皆さんには訪日中国人に、大いに快く歓迎の意思を示してほしい。もともとの国民性もあり、中国人は海外旅行に慣れていないという問題もあるが、そういった細かいところを包容し、訪日中国人に優しくすることで訪日中国人が親切な日本人の一面を体験して、また来たいと思い、そして周りの人にも伝えるようになればどんなに意義があるであろう。
青少年交流「中日友好冰球之旅」
2014年、中国人の海外旅行者数はすでに1億人を超えたという。それに対して日本への200万人は微々たるものだと言っていいだろう。日本のインバウンド観光目標値を実現するのに、もっとも期待できるのは中国の観光市場であることは間違いない。観光交流を通して、日中両国の親睦を深めていこう。
■著者プロフィール
中国・青島生まれ。中国北京第二外国語学院卒業、立教大学大学院応用社会学研究科博士課程前期課程修了、中国吉林大学大学院博士後期課程修了後、北京第二外国語学院日本語学部・ホテル管理学部教員、新潟産業大学人文学部助教授を経て現職。中国・吉林大学北東アジア研究院客員教授。専門分野は国際観光、観光行動、日中韓の都市観光魅力に関する研究。主な著書・論文に、『現代観光学の展開』、「北東アジア諸国の観光認知と観光意識調査結果」(『北東アジア論集』)、「飛躍する中国の国際観光の現状と展望」(『日中経済ジャーナル』)など。
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