東京にいても故郷の力になりたい。楽しく緩く7年目、いわて銀河プラザ応援女子会anecco.(あねっこ)
東京の真ん中で故郷のことをふと思い出す瞬間を、地方から上京してきた人のほとんどが経験したことがあるだろう。あるいは故郷のニュースを聞き、何か力になりたいと思っても、東京にいながら「何か」を見つけ出すことの難しさに、いつしかその思いが日々の忙しさに埋没してしまっている人も多いのではないだろうか。
岩手県アンテナショップ「いわて銀河プラザ」で活動するボランティアグループ、いわて銀河プラザ応援女子会anecco.(あねっこ)では、そんな人が自分の役割を見つけ、店を盛り上げ、岩手を発信する確かな力となっている。首都圏に住みながら故郷に貢献する方法は、ある。
人通りの多い場所。外国人観光客の姿も見える。
主体的に動く女子会に
いわて銀河プラザ(銀プラ)は今年オープン19年目を迎えた、都道府県アンテナショップの老舗だ。銀座と築地の間、歌舞伎座の向かいという人通りの多い場所にある。新橋演舞場にも近いため、観劇の前後に訪れる人、弁当を買う人が多い。アンテナショップの中でもフロアが広く、全体の品ぞろえも充実。開店前から店の前に列ができ、開店直後から店内がにぎわうほどファンが多く、売り上げはアンテナショップの中でトップクラスを誇る。また、広いフロアを生かしたイベントスペースでは、県内の団体が毎日のようにフェアなどのイベントを行っている。
いわて銀河プラザの店内
この銀プラを盛り上げているのがanecco.だ。これは2010年に、岩手県東京事務所の企画で始まったものだ。anecco.代表で、普段は出版社で編集の仕事をしている小田舞子さんは、唯一の設立当時からのメンバーである。
今年3月のanecco.デーで、anecco.メンバーと岩泉町の店の方々。いちばん右が小田さん
小田:歌舞伎座が工事のために閉館していた期間がありました。当時、売り上げはアンテナショップ3位でしたが、銀プラのお客さまは歌舞伎座のお客さまとリンクしていたので、どうしたら売り上げを下げないようにできるか考える中で、もっと若い人に来てもらいたいという意見が出て、岩手県出身のメディア関係の若い女性に声がかけられたそうです。
このグループについた名前が「anecco.」だ。岩手の方言で若い女性を意味する「あねっこ」と、より多くの人に根付くようにという意味が込められている。
小田:設立当初は月に1回集まって、例えば、県からショーウィンドウの変更案を見せてもらい、アイデアを出したりしていました。しかし、もっと主体的に活動したいという気持ちがありました。そんなときに東日本大震災が起きました。テレビの画面で津波を見て、「自分が何もしないうちに岩手が壊れていく」と思いました。
何かやりたい、やらなきゃという思いになりました。県のanecco.ご担当者も被災され、「私たちも県の方に頼るばかりでなく、自分たちで考えてやらなければ」と思いました。
そしてanecco.の独自企画として初めて行われたのが、この年6月の岩手復興支援イベント「in my home」。anecco.のメンバーでもある岩手県大船渡市出身のシンガーソングライター、濱森英子さんをはじめとするミュージシャンが出演するライブで、岩手の郷土料理「ひっつみ汁」も提供された。
そしてその後も、少しずつ活動を拡大していった。
スポンサードリンク