伝統の和船造りを後世に伝える「鵜飼舟プロジェクト」

2017.07.14岐阜県

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左からダグラス・ブルックスさん、那須清一さん、製図等を担当するマーク・バウアーさん

 岐阜県美濃市曽代の岐阜県立森林文化アカデミーでは、長良川の鵜飼で使う鵜舟の造船技術を後世に伝えるため、実際に舟を造り、その様子を映像で記録する「鵜飼舟プロジェクト」を開始した。7月22日に進水式を行う。

 造られている鵜舟は全長13メートル。一般に和船の材料はスギだが、長良川の鵜舟は水に強くて丈夫なコウヤマキを使うのが特徴。企画したのは、アカデミー准教授の久津輪雅さん。
 鵜舟を制作できるのは、今では船大工歴70年のベテラン那須清一さんとその弟子の2人しかいないため、技術の継承を心配した久津輪准教授が3年前に「和船ネットワーク」を開設。このほど那須さんの指導の下、和船の研究者で、日本各地の船大工にも弟子入りした経験があるアメリカ人のダグラス・ブルックスさんを中心に、アカデミーの学生古山智史さんらが加わり舟作りを始めた。

 はじめの1週間は作業が進まなかったが、毎日早朝5時半から作業を開始するなど努力した結果、当初の予定より早いペースで進んでいるという。オープンな場で製作されているため、鵜飼の関係者や林業、行政職員などさまざまな人が毎日見学に訪れ、和船の伝統技法である「すり合わせ」(接合面をノコギリで挽き密着させる)「木殺し」(接合面を金づちで凹ませておく)「ダキを切る」(釘を打つための溝を掘る)などの独特の作業を間近に見ている。

 見学は月~土の午前9時~午後5時ごろ。なお、このプロジェクトには長良川うかいミュージアム、岐阜市歴史博物館、関市役所なども協力。映像の記録は東京文化財研究所が支援している。

写真2
完成間近の鵜舟

リンク:鵜飼舟プロジェクト、始まります(岐阜県立森林文化アカデミー)
リンク:鵜飼舟プロジェクトの報告会と進水式を実施します(岐阜県立森林文化アカデミー)

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