花の最新情報をタクシー運転手たちが写真で伝える  ――「花なび」が発信する京の花情報のイノベーション――

高木治夫京都フラワーツーリズム合同会社プロデューサー /オープンデータによる地方創生アドバイザー

2017.05.17京都府

花の最新情報をタクシー運転手たちが写真で伝える ――「花なび」が発信する京の花情報のイノベーション――
西本願寺のツツジは2017年05月06日に撮影。撮影者は中井タクシー

京の花を愛でるために

「京都ではもう桜が咲いていますか?」

「今はどこの紅葉が見頃なのでしょうか?」

 京都を訪れる旅行者ならば、多かれ少なかれ「花」への期待を抱くものではないでしょうか。平安の昔から歌に詠まれ物語につづられる京の花とはいかなるものか、この目で確かめ、カメラに収めて帰りたい――そうした声が、京都に住む筆者の耳にしばしば届きます。

 京都の観光ガイドブックは、全国・全世界に数多く存在します。しかしながら、紙媒体のガイドブックでは情報の鮮度に限界があるのが実状です。

 世界の各地からやってくる旅行者に京都の旬の花情報を届けたいとの想いから、運営団体である京都フラワーツーリズムが立ち上げたのが、視覚的に伝えるデジタルコンテンツ「花なび」です。

「花なび」誕生

 花なびへの取り組みは、2007年秋、紅葉のシーズンに実験的にスタートしました。仕掛け人は、京都フラワーツーリズム、MKタクシー、ハイアットリージェンシー京都の三者です。

 フットワークを活かして洛中洛外の紅葉の風景を撮影するのは、MKタクシーのドライバーたち。京都フラワーツーリズムがシステムを構築し、コンテンツとしての体裁を整えます。こうして作成された花なびは、最初にハイアットリージェンシー京都のロビーに設置された大型ハイビジョンで放映されました。

 観光客からは「ロビーで放映される花なびのおかげで、迷うことなく翌日の行き先を決めることができた」「見所とも思っていなかった場所が、思いがけず美しい名所であったと発見できた」など当初の予想を超える大きな反響がありました。連日更新される旬の写真と位置情報は、観光客から高いニーズがあると手応えを強く感じました。

花なびの広がり

 2007年秋の実験段階を経て、2008年1月、花なびは本格的に始動しました。

 現在は、ハイアットリージェンシー京都だけでなく、京阪神の主要ホテル客室テレビや、博物館や銀行のロビー、商店街に設置された「電子看板」などへ配信を拡大しています。また、NISSANカーナビへの配信は、位置情報との相関性が高く、たいへん好評を得ています。

 また、花なびは、iPhone、Androidに対応したアプリとして無料で配信されています。アプリ版を事前にスマートフォンやタブレットにダウンロードすると、出かけた先でも手軽に最新の花情報を知ることができます。

 ここから派生したiPhoneの「花なびセレクト」は、今見頃を迎えている京都の花を毎日楽しめるアプリで、おおよそ1カ月に30件程度の花の写真が解像度の高い鮮明な画像で配信されています。

花の最新情報をタクシー運転手たちが写真で伝える ――「花なび」が発信する京の花情報のイノベーション――
花なびセレクトのトップ画面では最新の花情報のスライドが流れる。また、花情報の詳細やTwitter、facebookなどのメニューから簡単にアクセスできる工夫をしている

 さまざまな媒体へと配信先を広げながら、花なびは、2008年1月から2014年4月末までに累計11,000件の花情報を発信してきました。

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