「蟹に合う酒」 地域の酒米で醸した純米酒と港の名物のマリアージュが魅力を倍増! 味わいの向こうに、地域を見える化

山本洋子酒食ジャーナリスト/地域食ブランドアドバイザー

2017.03.13鳥取県

「蟹に合う酒」 地域の酒米で醸した純米酒と港の名物のマリアージュが魅力を倍増! 味わいの向こうに、地域を見える化
境港のベニズワイガニと純米酒を楽しむイベントを定期的に開催。ひとり一杯ずつのカニを用意し、カニフォークやハサミを一切使わずに食べる方法を伝授。フレッシュでみずみずしいカニだからできることを、ダイナミックに体感してもらう。カニの甘み、最後に自分で作る甲羅酒に、参加者全員が喜びの声をあげる。毎回、瞬時に席が埋まる人気イベントだ。場所は原宿のOnJapanCafe

 人を呼ぶ施策は山ほどあるが、何といっても強いのが「食」だ。
 ミシュランガイドで紹介された店に、何百キロも車を走らせる客がいる。価値を感じらればどこまでも食べに行く、そう駆り立てるものが食にある。たとえその土地に歴史があろうとなかろうと、買い物施設がなくてもだ。
 改めて、地域の食の魅力を持つ商品とは何かを考える。商品開発のベース設計をどうすべきか。地域とどうつながりを持つべきか。観光客は何を一番面白いと感じるか?
 今冬、海と山、里を連携させた米の酒が誕生した。
 日本一のベニズワイガニ量を誇る鳥取県境港。このまちの酒蔵が開発したのが「蟹に合う酒」。海の名物と、地の米のみで醸した純米酒。最強のマリアージュの挑戦を追った。

「蟹に合う酒」 地域の酒米で醸した純米酒と港の名物のマリアージュが魅力を倍増! 味わいの向こうに、地域を見える化
右 酒の銘柄がズバリ!「蟹に合う酒」300mlの飲みきりサイズ

 何度か訪問している富山市の寿司屋に再訪した。外人グループが熱心に寿司を楽しんでいる。
 店主に聞けば「最近、多いんです。インスタグラムの写真を見て予約する海外からのお客さまが」。店主に「英語で発信しているの?」と聞けば、「英語は全然。今、必要に迫られて、勉強しようかと(笑)」

 1枚の写真から寿司の迫力が伝わり、その店で食べるためだけに来日する。そして新しい客が写真をアップし、シェアされ、さらに拡散していく。

 この店のこだわりは、地元、富山湾の魚介だけを使うことにある。イクラやサーモンは一切、出さない。
 富山名物のエビは、白エビと赤エビを握りで、ひと皿にのせて提供。
 心がけるのは季節の「走り」「旬」「名残」の魚介類。すべて何らかの仕事をしてから握る。今日の富山湾を、寿司で伝える。

「蟹に合う酒」 地域の酒米で醸した純米酒と港の名物のマリアージュが魅力を倍増! 味わいの向こうに、地域を見える化
魚種に合う酒も用意。地元の銘酒「満寿泉」が揃う。富山市「鮨人」

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