「みなと」再興に向けて クルーズ/ベイ・ツーリズムでにぎわう交流拠点へ

福本賢太追手門学院大学社会学部社会学科教授

2015.07.16兵庫県

交流拠点「みなと」再興に向けて

神戸ハーバーランド (c) 一般財団法人神戸国際観光コンベンション協会
神戸ハーバーランド (c) 一般財団法人神戸国際観光コンベンション協会

 鎖国から開国し150年目の節目を間もなく迎えようとしている。異国の価値観が「みなと」を玄関口に受け入れられたことは、社会面・経済面・文化面へ大きなインパクトをもたらすこととなった。現代国家への歩みに「みなと」が果たしてきた功績を忘れることはできない。

 「みなと」(港・湊)とはもともと、川・海など水の出入り口や、船舶が安全に停泊できる場所を指し、物流拠点・漁獲拠点としての役割を担ってきた。
 しかし、かつてのような交流拠点としての「みなと」再興に着手すべき時代が訪れたと感じている。日本の船会社が相次いで新造船の建造・計画を発表した1989年は日本のクルーズ元年として記憶に新しいが、後発の近隣東南アジア諸国の賑わいと比較し「みなと」躍動度はまだまだ希薄な状況にあるといえる。本稿では集客向上策の観点から、神戸港をフィールドに実地調査した結果を報告したい。以下、交流拠点「みなと」再興を念頭に神戸港を考察する。

 調査研究ゼミ生(大学2回生)による実地調査から、神戸の「みなと」集客向上策の検討に取り組んできた。①客船主体(クルーズ・ツーリズム)②「みなと」地域主体(ベイ・ツーリズム)を調査対象に、若い感性を活かした具体的提案を導くことを主目的とした。

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