域学連携を持続可能にするポイントとは
西伊豆・松崎町 駿河湾と富士山を望む石部棚田
域学連携とは
「イキガクレンケイ」と音で聞くと何のことかと首を傾げるかもしれませんが、「域学連携」と文字で見れば少しイメージが湧いてくるでしょうか。域学連携とは、大学生と大学教員が地域に入って、そこで暮らす人々とともに地域に眠っている資源を掘り起こし、地域が抱えている課題を発見し、課題解決に向けて地域づくりに継続的に取り組む活動を指します。
地域にとっては、大学が蓄積している知識・情報・ノウハウを活用して、新たな視点で地域の課題を発掘することができ、人材育成を通じて地域活性化が図られることが期待されています。一方、大学にとっても、講義では得られない深い体験や実践の場を得ることを通じて、学生たちが主体的に学び成長していくことが期待されています。
地域と大学が連携することで、それぞれの持っている資源を生かすことができ、双方がWin-Winな関係を築く方法とも言えます。今、教育現場や地域づくりの現場で、域学連携ブームが起こっています。
常葉大学「ふじとこ伊豆プロジェクト」
域学連携をより具体的にイメージするために、筆者が関わっている静岡県の域学連携事業を紹介しましょう。静岡県では、都市と農山村をマッチングする仕組みとして「一社一村しずおか運動」に取り組んでおり、常葉大学の活動は、2007年に認定されました。
都市と農村のマッチング後、熱心な地域リーダーがいる間は、活動を継続できるものの、後継者を育成できずにリーダーの高齢化とともに活動が衰退していくというケースを多く見かけます。学生は、毎年、メンバーが入れ替わるため、担い手として安定性に欠けるとも言われます。
そうした中、常葉大学「ふじとこ伊豆プロジェクト」では、サークル化していない出入り自由なボランティア活動でありながら、過疎・高齢化が著しい西伊豆・松崎町と13年間も深く関わり続け、近年ますます活動の幅を広げています。
「ふじとこ伊豆プロジェクト」は、常葉大学社会環境学部(旧 富士常葉大学環境防災学部)を中心に、学生有志によって企画運営されています。2003年から石部棚田保全ボランティア活動に取り組みはじめ、翌年から大学の公式行事として認定され、2011年からプロジェクト方式の活動に大きく転換しました。大規模な活動では40名程度、普段の活動には10~20名程度が参加しており、参加者のリピート率が高いのが特徴です。
活動の三本柱は、(1)石部棚田保全ボランティア:石部棚田での援農活動(鍬一本での畦塗り、畦切り、田植え、草取り、稲刈り)、(2)マルシェ:地場産品や加工品を販売する定期市、(3)いっぷく亭:地場産品を使った料理の販売、都市住民との交流の場づくりです。このほかにも大地曳網祭りなど地域の行事やイベントに参画しています。
3年生がリーダーとなり、イベントの企画運営、地域団体との連絡調整を行い、毎年リーダーを交代して次世代へとつないでいます。活動にかかる経費は、大学や町から一部補助を受けつつ、基本的に参加者が負担します。
鍬一本で畦切り体験
マルシェに集う地域の人々
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