石見銀山で中国人観光客のニーズを探る 大田市観光振興課キョウグンさんに聞く
滞在型観光や体験型観光の推進
SNSでの交流は進んでいるものの、現状ではそれが誘客に結び付いているとまでは言い難い。
そこで、中国からの観光客を対象に、どの地域からどのようなルートで石見銀山に訪れているかを探る実態調査を2015年7月~12月末に実施し、32名から回答を得た。
観光客は多い順に台湾、香港、中国本土からで、30代から50代の働き盛りの人たちが中心。そのほとんどが「世界遺産」というブランドや銀山の歴史に興味を持ち、訪れていることが判明した。ところが多くの台湾人は、SNSよりもガイドブックを参考にして石見銀山に訪れていることがわかった。
キョウ:
「SNSでの発信にもう少し工夫が必要なことがわかりました。石見の銀は16~17世紀に中国にもたらされ、基本通貨として流通していたので、中国人にも知られていた存在です。こうした日本と中国の深いつながりから石見銀山に興味を持ってもらい、その上で日本のどの場所にあるのか、地図や交通情報をもっと発信しようと思います」
アンケートでは石見銀山での滞在時間が4時間以内で、その後近隣の出雲市や広島県などに移動していることもわかった。
キョウ:
「大田市には外国人が現地で予約可能な宿泊施設が少ないことも要因の一つと考えられますが、石見銀山だけでなく、三瓶や仁摩などの近隣の観光地も周遊してもらえる仕組みづくりや、江津市の「NAO Farm」のように地元の人と交流できる体験型観光も取り入れていく必要があると思います」
現在1人で情報発信を行っているため、今後はさまざまな関係者に協力を得ながら、観光だけでなく日本の文化や生活なども含めた幅広い情報を中国人に伝え、誘客につなげていきたいと考えている。
(取材・文/塩田恵理子)
<石見銀山を訪れた中国人観光客のアンケート結果>
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