島で泊まる、島を感じる 瀬戸内国際芸術祭

2016.04.18香川県

人に出会う

豊島の唐櫃港近くでであったお年寄りたち
豊島の唐櫃港近くでであったお年寄りたち

 普段の生活の中では、通りかかる人に突然声をかけることはないだろう。でも、せっかくならいろいろな人と話してみたいと思った。今回のたった1泊と3日(1日は高松で宿泊したため)でたくさんの人に出会えた。

 ざっとあげると、豊島では地元のお年よりグループ、その中にいた自宅で茶店を営むおばあちゃん、国際芸術祭開催期に合わせ、独自の美術館を開設しようとする東北大の学生さんたち、段々畑で農業を営むお父さん。レンタルサイクルのご主人にもお世話になった。直島では、宿泊したゲストハウスで外国人の4人組と日本人の若い女性3人、彼らとは夜中まで飲みながら盛り上がった。他に宿泊先までの道順を聞いてきた外国人観光客のご夫婦、その道を教えてくれ、結局自分で案内していった地元の奥さん、夕飯を食べたセルフサービス式古民家和食店のスタッフさん、自転車で島を巡ろうとしていた若いグループなどなど。たくさんの美術館やアート施設のスタッフさんともお話しできた。他に、取材でお話をうかがった方もいる。

 短い時間で、ゆったり時間を過ごすことができうえに、たくさんの人と出会い、いろいろな会話もできた。

自宅を茶店として、島の話をしてくれる方もいる
自宅を茶店として、島の話をしてくれる方もいる

ゲストハウスでは夜遅くまで盛り上がった
ゲストハウスでは夜遅くまで盛り上がった

普段の生活にないものを見つけよう

 短い時間だったが、いくつか普段の生活との違いを感じることができた。

 最初に気づいたのが「音の大きさが違う」ということだった。はっきり認識したのはバス停でバスを待っていた時だ。町角の向こうからエンジン音が聞こえ、さあバスが来たと思った瞬間、出てきたのは50ccのバイク1台。一瞬、エッと思った。その音が大きく、あまりにはっきりと聞こえたのだ。それから意識して聞いていると、エンジン音がまったく聞こえない時間がかなりある。バイク、乗用車などの音が1台1台はっきり聞こえるくらいの乗り物の量なのだ。都市では互いに折り重なって消しあい、渾然一体となった騒音の世界になっていると気がついた。田舎の夜は明かりが少なく、真っ暗で星がよく見えることは知っていたが、音も同じなのだとこのとき気づかされた。

 路地を歩いていて、車があまり怖くないとも思った。絶対的に車の数が少ないこともあるだろう。でもそれだけではないと思う。一つは町中の道が狭くまっすぐでないことがある。もう一つは、一つの地域のエリアが狭いからだと思う。町が小さいので、行きたいところへいくためには歩いていくのが一番早いのだ。つまり地域自体が歩くことが前提で成り立っているのだと思う。直島で著名なアートエリア「家プロジェクト」では本村地区内に7カ所の施設があるが、歩いて回るのがもっとも合理的だった。地図で見るほどには離れていない。歩くことが移動の基本、ということを思い出させてもらった気がする。

車も少ない直島本村地区の路地
車も少ない直島本村地区の路地

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