地域観光 地域の光を観せる

佐藤喜子光NPO法人地域力創造研究所理事長

2011.10.01

 「観光」という言葉には多くの概念や形態が含まれるが、“地域の「光り輝く姿」を「観せる」こと”を、ここでは「地域観光」と呼びたい。これはまた、「四書五経の易経」に見られる「観光」の本質に還る考え方だとも言える。

 “「光り輝く姿」を「観せる」”ことは、ちょうど、女性にしろ男性にしろ、自分のチャームポイントをアピールして他人の歓心を買って有利なポジショニングを得て自分の目的を達成しようとする行動と同じ考え方である。

 それでは、「地域の光り輝く姿」とは具体的にはどのようなものか。

 その地域の自然環境や社会環境の中で長年にわたって培われてきた「地域のDNA」に支えられた「その地域らしさが際立っている姿」である。そして、時間軸に沿って、その「観せる姿は三つの形態に分けられる。

 「観せる姿」の一つ目の形態は「(1)光り輝いていた過去のある時期の姿」であり、二つ目の形態は「(2)現在の生業の姿」であり、三つ目の形態が「(3)未来の理想の姿」である。
 (1)から(3)それぞれの「観せる姿」を想定することから、「地域観光」は始まる。
 既に熟度が高まっている地域(A)や、今後の展開が期待される「進行形」の地域(B)など、その事例を見て頂ければ、上記の「地域観光論」を理解していただけるだろう。

(1)過去の姿: その地域の歴史を窺わせる「中世・近世・近代」の町並みや宿場・湯治場
  Aのケース: 豊後高田(昭和の町)、川越(小江戸と呼ばれる町並み)
  Bのケース: 一乗谷本郷-朝倉氏越前王国-
(2)現在の姿: その地域に息づく「生業(なりわい)」や「生活文化(暮らしぶり)」
  Aのケース: 安心院(農家民泊)、針江(川端-かばた-のある生活文化)
  Bのケース: 宇部・美祢・山陽小野田ージオ・ミュージアムー
(3)未来の姿: その地域のDNAが生み出しそうな「未来の理想型」
      A: 富良野(芸術家村)、直島(アートの島)
      B: 秩父ー山岳リゾートー

 「地域観光」を進めるためには、メリハリをつけて地域をアピールしていくことが必要である。そのためには、まず「突破口」を創ることである。突破口は、地域の過去・現在・未来をつなぐDNAの中に必ず存在している。
 そして、突破口を見つけたら、それをどのように「商品化して演出していくべきか」を考えなくてはいけない。

 このようなステップで考えることにより、「地域観光」の進め方が見えてくる。

 つまり「地域観光」は、何もないところから作り上げることはできない。
「地域観光」とは、その地域のDNAを基軸としながら「商品価値のある新しい地域」を作り上げ、来訪客(観光客)がそこに楽しく溶け込めるように「その地域らしさを演出する」ことによって、“その地域の「光り輝く姿」を「観せる」”ことなのである。

著者プロフィール

佐藤喜子光

佐藤喜子光NPO法人地域力創造研究所理事長

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