長良川おんぱくで流域再生 第2回 まちづくりのプラットフォームをつくり、長良川ブランドを構築・発信する
目的2 「長良川ブランド」を構築・発信し、まちのアイデンティティを共有する
今年のプログラム「落ち鮎の瀬張り漁&天然鮎再生ツアー2 魚苗センター編」
蒲:このまちは長良川に育まれたまちだという確信があるのです。上流から運ばれる材木や和紙の問屋町として川原町エリアがある。また長良川鵜飼は、漁をする鵜と鵜匠だけでなく、それを見るお客さんや、もてなす芸妓舞妓たちの『遊宴(ゆえん)文化』も含めて一体になったものです。岐阜を拠点とした戦国武将にとっても、金華山と川が自然の要害となっていました。多面的に、岐阜というまちは長良川によって育まれてきました。この考えは、流域という単位で考えたときに初めて価値が出ると思います。
長良川流域について、蒲さんには以前から考えていたことがあった。2008年、蒲さんは『この長良川の恵みで、私たちの子や孫まで、岐阜で生きるために。~地域の再生と、持続可能な長良川流域の形成~』(道づくりフォーラム発行)という提言書の編集にかかわった。この中では、現在の長良川流域が、グローバル経済の中で、資金や若者が都市へ流出、伝統産業や農林業が衰退するなどして、持続不可能な流域への道をたどっていることが語られる。そして持続可能な流域への道として、農業を再生させて食糧自給率を上げ、余剰食糧などの販売で収入を得ること、U・Iターンする若者が増加すること、地域資源を活かしたグリーンツーリズムなどで都市と郡部の交流人口が増えることなどがあげられている。
この提言書にあるような問題意識を、蒲さんは持ち続けてきた。
蒲:NPOとしては、流域の再生、流域の地域づくりに携わっていきたいとずっと思っています。地域課題の悪循環の構図を、好循環に変えていきたいんです。
長良川の恵みを享受し、それを上流のまちや源流の山、森に還元する流域に生きているという誇りを背景に持つ「長良川ブランド」。その思想が、プログラムやガイドブック作成などでも貫かれている。
流域全体での開催を目指して長良川上流にも仲間を増やし、今年は初めて下流の三重県桑名市からも参加する。また「長良川周辺の選りすぐりスポット・レトロ着物・女子」という毎年のガイドブックの表紙は、「長良川ブランド」のイメージとして印象付けられ、観光協会でもこのイメージが使われ始めた。
長良川と金華山
今年初の試みもある。
蒲:長良川の恵みを楽しみながら恩返しをしていく仕組みづくりを、4年目の今年、初めて本格的にやろうとしています。今年から始めるオープニングイベント『長良川鮎まつり』の売り上げの一部は、水源の森へ雑木林を増やすため、天然鮎の種付けのために寄付します。
こうしたことが、長良川おんぱくのガイドブックにも丁寧に書かれている。漁、生態系、自然保護、治水、歴史など、長良川といっても多面的な捉え方があり、かかわる人もそれぞれの分野の研究者、漁師、行政、NPOなどさまざまだ。考えるための基礎データも不足しており、流域で暮らす一般住民にとって、今後への課題がわかりづらくなっていると蒲さんは指摘する。
蒲:今年『長良川清流白書』を作るプログラムを開催します。研究者や若い漁師などの話を聞き、長良川の表と裏を学びます。
(第3回に続く)
(取材・文/青木 遥)
長良川おんぱくで流域再生 第1回 おんぱくは一日にして成らずへ
長良川おんぱく2014
■期間 10月11日(土) ― 11月29日(土)
■主催 長良川温泉泊覧会実行委員会
9月16日(火)昼12時から電話申し込み開始
9月17日(水)朝9時から公式webサイトでの申し込み開始
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