長良川おんぱくで流域再生 第2回 まちづくりのプラットフォームをつくり、長良川ブランドを構築・発信する
第1回では、長良川おんぱくが開催されるまでを追った。第2回では長良川おんぱくの二つの目的について、引き続き蒲勇介さんにお話を伺う。
長良川おんぱく2014ガイドブック表紙
第1回でご紹介した「オンパク手法」による取り組みの特性として、
・小規模のプログラムを開催できるため、大規模な赤字のリスクが少ない
・プログラムをたくさん集めるため、ガイドブックはカタログのようになり、その分野に興味のなかった層も含め幅広い人の目に触れる
・短期間の開催を毎年繰り返すことで、異業種他業種が連携して集中できる
などがあげられる。長良川おんぱくではこれらの特性だけでなく、二つの目的に沿って大きな効果を生み出している。
目的1 さまざまな主体の連携やつながりをつくることで、まちづくりの「プラットフォーム」をつくる
長良川おんぱく説明会で参加意義を真剣に考える
蒲:岐阜ではまちづくりセクター・観光セクター・行政が相互に情報共有したり、連携したりという雰囲気をあまり感じませんでした。また世代間のギャップもあり、われわれのような『よそもの・わかもの・ばかもの・女性』が観光やまちづくりに携わるのが大変難しい環境でした。
長良川おんぱくが始まる前のまちの状態を、蒲さんはこう語る。
オンパクは小規模でプログラムを開催できるため、地域で活動してみたいという思いを秘めていた人が、パートナーとして動き始めるきっかけになりやすい。結果として、まちづくりの主体となる人の掘り起こしにつながる。
蒲さんが理事長を務めるNPO法人ORGANは、2010年から岐阜市教育委員会中央青少年会館で講座の講師を務めているが、2012年からこれを「長良川みちくさゼミ」にリニューアルした。プログラムを体験したり、先輩パートナーの話を聞いたりしながら、グループでプログラムをつくり、長良川おんぱくでの開催を目指す。この講座も、新しいまちづくり主体の発掘につながっている。
パートナーには、おんぱくに「協力する」のではなく、おんぱくを「使う」意識を持ってほしいと蒲さんは話す。
蒲:これまでの地域おこしイベントは、お金やボランティアスタッフを出してもらい、「協力」してもらうものでした。おんぱくはそうではない。自分の伝えたい地域の魅力の発信や、自分の本業である、サービスや商品のテストマーケティングなどに、おんぱくは「使う」ものです。パートナーが当事者として考え、おんぱくを使って動ける、自立分散型の催しです。
パートナー向けの説明会・研修には、そうした意識を身につける内容がある。
蒲:長良川おんぱく独自の「プログラムねりねりシート」を書いてもらうのですが、その最初に、おんぱくで何を達成したいか書く欄があります。これによって、おんぱくへの参加が自分にとってどういう意味があるか、真剣に考え始めるのです。
またそれらはパートナー同士のつながりをつくる場ともなっている。
蒲:パートナーに1分のプレゼンをしてもらいます。そこで相互に見て評価しあう関係性が生まれます。学び励ましあえる質の高いコミュニティをどうつくるかを意識しています。
ほかにも決起集会や、今年から始める振り返り研修など、パートナーの集まる場を何度も設けている。
パートナー同士で1分間プレゼンをし、評価し合う関係性を生む
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