ゲストハウスから始まるもてなしのまち ゲストハウス「蔵」(長野県須坂市)
日本を伝えるのは、面白い
蔵のまち、長野県須坂市にある「ゲストハウス蔵」
「ゲストハウス蔵」は長野県須坂市にある。
須坂市は明治から昭和初期にかけて製糸業で栄え、土蔵や大壁造りの商家が残る蔵の町としても知られる。近年は電子・機械工業が発達し、りんごや巨峰の産地でもある。ゲストハウス蔵のオーナーである山上万里奈さんはこの須坂で生まれ育った。
山上:高校の恩師から『海外の人とつきあうには、日本のことをよく知らないと相手にしてもらえない』と言われていたので、日本を伝える、教えることには何となく興味がありました。大学で日本語の授業を受けるうち、日本語だけでなく文化を教えるのも日本語教師の役割だと知り、面白そうだと思って免許を取りました。
日本語教師となり、東京で1年、中国の「田舎」栄成市で1年間、杭州市で1年間日本語を教えた後、再び日本で日本語教師となった。しかし宿業を始めることを考えたのはもっと後、岐阜県高山市の旅館で働いていたときだ。
山上:外国の方の接客が多かったのですが、日本のお客様とは全然違う視点で話すのが面白かったです。それは日本語教師をしているときから好きなことでもありました。例えば夕食のとき、なぜ最後にご飯とみそ汁が出るのかとよく聞かれました。それは日本の文化の一つで、飲み会の席や、居酒屋で飲んだ後も最後にラーメンやご飯ものが食べたくなるというように、最後にご飯というのは日本のコース料理の順番なのだと説明していました。
そうした中で、次の仕事として宿業を考え始めた山上さん。
山上:日本語教師をしていたとき、生徒は余裕を持って勉強できる人というより、毎日大変な生活をしている人がほとんどでした。外国の方をもてなす宿泊の場なら、日本に興味を持って来ている旅人に経験を生かして日本語を教えられるし、日本に接する機会をこちらから提供できます。また家族経営の小さな宿にいて、自分の担当のお客様に目を向けることができた経験から、自分の目の届く範囲で働きたいと思い、ゲストハウスという選択肢が浮かびました。
しかし宿の経営は未経験。体系的に教えてくれるところをウェブで探し「宿場JAPAN」に連絡した。この会社では、東京都品川区で「ゲストハウス品川宿」を経営しながら人材を育て、「地域融合型ゲストハウスの経営ノウハウ」や「地域で働きながらまちづくり活動する人材」を提供している。山上さんはゲストハウス品川宿で3カ月働き、修業を積んだ。
山上:連絡したのが震災の1、2週間前で、震災後に本当にやるのかと聞かれましたが、決めていたので、やらせてくださいと言いました。修業は外国人旅行客が減った時期でしたが、逆にゆったりと一人一人のお客様を見ることができました。
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