足を止めさせるもの・デザイン・見せ方とは  「乙女の金沢」が伝えるまちとひとの魅力

2015.06.01石川県

乙女の金沢展―「乙女」の仲間なら、もっとつながる

 『乙女の金沢』を出版後、本を見た百貨店のバイヤーから、本に出てくるものを集めて、数店舗で販売してもらえないかと声がかかった。約9年前のことで、そうしたイベントは未知の分野だったが岩本さんは引き受け、それを見た人からさらに声がかかり、今もイベントを続けている。福光屋での開催は今年が8年目で、地元の金沢21世紀美術館などでも開催した。

岩本:若手作家の個性的な作品が多いので、伝統工芸も新鮮に見てもらえるようです。和菓子も、普段なかなか手に取る機会がないものに出会える面白さがあるようです。

個性的な九谷焼に思わず目を止める人も多い
個性的な九谷焼に思わず目を止める人も多い

 2011年からは、金沢市内でのイベント「百万石まちなかめぐり さくら」の中で「乙女の金沢 春ららら市」も開いている。これまでとは違う野外のイベントで、多くの個人商店や作家が自らテントに出店する。このイベントでも岩本さんは「乙女」の力を感じるという。

岩本:活版印刷のお店があるのですが、おしゃれで新しいというより、ご夫婦で昔から営む小さい印刷所です。もともと渋い感じのもの、昔ながらのものでも、『乙女』に入る。入れてしまえば、多くの人に、自分に関係あるものとして見に来てもらえます。

 「乙女の金沢展」を訪れる女子たちの「かわいい」という言葉について、

岩本:外国の方に、なぜ日本人は何に対してもかわいいと言うのかと聞かれて、単に語彙が少ないだけではないかと思いました。渋いものや気に入ったものに思わずかわいいと言ったりする。いわゆる女の子らしいものに対してとは限らない。かわいいって何でもあり、乙女も何でもありだと思います。これは見た目がかわいくないからだめとは考えません。ただ、つくっている人に人柄や志があるかどうかや、全体のバランスは考えます。

 「乙女」という言葉から、とにかくかわいいものを集めていると想像されるかもしれないが、岩本さんが重視するのは、それをつくる「人」だ。人柄や志が、ものに力を与えるのかもしれない。

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