足を止めさせるもの・デザイン・見せ方とは  「乙女の金沢」が伝えるまちとひとの魅力

2015.06.01石川県

金沢の工芸品や和菓子が並ぶ「旅は道連れ 乙女の金沢展」
金沢の工芸品や和菓子が並ぶ「旅は道連れ 乙女の金沢展」

「あ、これかわいい」
 会社帰りの女性二人が吸い寄せられるように店に入る。ベビーカーを押した女性が店の前で足を止める。スーツ姿の男性も棚を覗く。

姫だるまの看板と岩本歩弓さん
姫だるまの看板と岩本歩弓さん

 東京都世田谷区の玉川髙島屋内「SAKE SHOP 福光屋 玉川店」で、5月8日から17日まで開かれた「旅は道連れ 乙女の金沢展」初日の夕方の様子だ。日本酒や伝統食品を扱う福光屋に、この日は姫だるまがモチーフの看板が掲げられている。金沢の商店や作家による焼き物や木製の工芸品、和菓子などが並ぶ様子は、比喩ではなく人の足を止めさせるほどの魅力を放つ。品物を手に取る客は閉店まで絶えなかった。
 この「乙女の金沢展」を企画するのが、書籍『乙女の金沢』の著者でもある岩本歩弓さんだ。

 2006年に出版された『乙女の金沢』は、まちの小さい店や地元の人のお気に入りの場所などを紹介した、これまでにないガイドブックとして多くの人が手に取った。2012年には最新情報を反映した新版も発売されるほどの人気だ。この本に掲載された商品などを集めて販売する「乙女の金沢展」も、9年以上にわたり全国各地で年に数回開かれている。岩本さんはどのようにして、一つの土地から生まれるものから、魅力的な本やイベントをつくりだしているのだろうか。

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