地域性を生かした「音楽」で新しい都市イメージを 川崎市「音楽のまち・かわさき」

2015.08.17神奈川県

日本有数のホール、ミューザを生かす

市民合唱祭2015 川崎混声合唱団
「市民合唱祭2015 川崎混声合唱団」市民がミューザを使う機会もある

 取り組みの大きな柱の一つはミューザの活用だ。

中岡:「世界レベルの音楽を聴いていただきたいです。世界的な評価を得ることでミューザの名前が広がれば、川崎市にはミューザがあるという誇りにもつながると思います」

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックにあわせて開催される「文化プログラム」も、ミューザの名前を広げるチャンスと捉えているそうだ。

 ミューザの特徴的なコンサートの一つが「フェスタサマーミューザ」である。首都圏の10のオーケストラが、約2週間の間に次々とコンサートを行う。

フェスタサマーミューザKAWASAKI2014 オープニングコンサート(東京交響楽団)
フェスタサマーミューザKAWASAKI2014 オープニングコンサート(東京交響楽団)

 若い世代への働きかけも積極的だ。「フェスタサマーミューザ」では0歳から入場できる演奏会がある。また、昨年1月にミューザの隣に移転した「東芝科学未来館」とのスタッフの交流から生まれた、音楽と科学の両方に子どものうちから親しめる企画が「夏ラボ」だ。今年も7月から8月上旬にかけて、音楽を聴きながら絵を描く、オリジナルエコ楽器を作るなどのプログラムが開催された。

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こどもフェスタ(0歳からのミニコンサート)

 ミューザに一般市民が立つ機会もある。「ミューザ川崎市民合唱祭」は毎年2日間にわたって開かれ、今年も100団体が参加した。「フェスタサマーミューザ」では、子どもによる「かわさきジュニアジャズオーケストラ」が演奏し、2013年からはシニア世代の出演者による「プラチナ音楽祭」も始まった。

県立多摩高等学校
県立多摩高等学校のステージ

中岡:「音楽のまちづくりのすそ野を広げていきたいです。昨日は世界的なオーケストラが公演をしていた場所に、今日は市民が立つ。世界水準の音楽を提供するとともに、市民の晴れの舞台としてもこのホールを生かしていきたいと考えています。日ごろの練習の成果をミューザで披露するのは格別の経験のようですね」

 音楽のイベントはミューザ以外でも、各区にある市民館やカフェなどさまざまな場所で行われ、幅広い団体に活躍の場が開かれている。「In Unity」など各区を中心に開かれるイベントもある。

おんまちみぞのくちライブ(高津区溝の口)
おんまちみぞのくちライブ(高津区溝の口)

 推進協議会では、イベントの実施だけでなく情報発信にも力を入れている。充実したホームページのほか、市内での音楽イベントを官民問わず網羅した「プチマガジン」を2カ月に1回作成し、駅などで配布している。
 推進協議会がさまざまなことを「つなぐ」役割を果たしていると中岡さんは話す。例えばホームページには練習場所や演奏会場の案内があり、音楽イベントを企画したい人は出演者を探すことができる。

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