Writers in Kyoto主催「持続可能なツーリズムとオーバーツーリズム」シンポジウム開催報告

2019.12.11京都府

Writers in Kyoto主催「持続可能なツーリズムとオーバーツーリズム」シンポジウム開催報告
左からアレックス・カー氏、エイミー・チャベス氏、村上佳代氏、ジョン・ドゥーギル氏

Writers in Kyoto主催「持続可能なツーリズムとオーバーツーリズム」シンポジウム開催報告
約2時間のシンポジウムではさまざまな意見や提言が出された

 京都を拠点に英文で著作活動を行う作家グループ「Writers in Kyoto(以下WIK)」が11月8日、オーバーツーリズム問題の解決の糸口を探るシンポジウムを京都市の龍谷大学大宮キャンパス新館302号で開催した。
 「持続可能なツーリズムとオーバーツーリズム ―文化の保護と観光振興のバランスをとるためにすべきことは?―」と題したシンポジウムには、WIK会員をはじめ、研究者や領事館関係者、通訳案内士やホテル関係者、関西在住の外国人や日本人など約90名が参加した。
 シンポジウムでは、WIKの主宰者で龍谷大学名誉教授のジョン・ドゥーギル氏がコーディネーターを務め、文化庁京都事務所代表の村上佳代氏、東洋文化研究家で古民家改修を手がけてきたアレックス・カー氏、Japan Timesコラムニストのエイミー・チャベス氏が登壇。
 今年の10月末に改訂出版した日本の世界遺産についての本『Japan’s World Heritage Sites: Unique Culture, Unique Nature』の著者である京都市在住のドゥーギル氏から、日本の世界遺産からの視点、世界遺産指定の功罪、観光客の分散化について問題提議をした。
 続いて、昨年6月に出版した日本で良い振る舞いをするためにという本『Amy’s Guide to Best Behavior in Japan』の著者である岡山県白石島在住のチャベス氏が、自身の経験を基に、文化的習慣の差異を学び・理解することへの大切さを述べるとともに、観光客に地元のルールを伝え・守るように指導する「ツーリストポリス」制度の導入や、通訳案内士が担当する団体客のマナーに対してはしっかりと責任を持つという資格制度の厳格化、ヨーロッパでは早くから導入が進んでいるパーク&ライドに倣い、観光地の駐車場における利用量調整の必要性などを提言した。
 文化庁からは、当初予定していた登壇者の事情により急遽村上氏が登壇。村上氏は、観光客の急激な増加で観光資源や本来の地域文化が損傷されている事態とともに、文化保護の視点から文化庁の観光政策や町づくりへの関わりが以前と比べて増加している現状を述べた。さらに観光資源の保護と観光客誘致、地域住民の生活維持と観光のバランスをとる大切さを訴えた。
 最後に、今年の3月に日本語で出版した『観光亡国論』の著者である京都府亀岡市在住カー氏が、社寺などで観光客に訴えているメッセージ看板が、逆に景観を破壊している現状や、観光客への便宜を優先しすぎたために、地元商店街がさびれてしまった例のほか、観光客数は増加しても、地元の収益に全くつながらない「ゼロドル・ツーリズム」などの例を挙げた。
 さらに、徳島県三好市祖谷(いや)でカー氏が立ち上げた古民家宿では、大量の観光客を誘致することなく、高い経済効果につながっていることを述べ、「量」より「質」を高めた地域社会に優しい観光施策の必要性などを強調した。
 また、地域観光振興に向けた政府と各地域社会とのさらなる協働や地域観光コンサルタントの導入、観光客が大量に集中する地域での観光客数の管理と受け入れ許容量の尊重など活発な意見が交わされた。

 WIK会員の河原田眞弓さんは「カー氏の提言は本人の著書にも詳しく記されていますが、今回のシンポジウムで出された貴重な提言の数々は、このテーマに関心のある多くの方々にまだ伝わっておらず、その点は残念でなりません。文化庁とWIKのシンポジウムをきっかけに、外国人と日本人の文化的相互理解を促す橋渡し役を担っている方々と私たち日本人との意見交換の機会が今後も増え、持続可能なツーリズムの実現に向けて反映されることを期待しています」と話す。

Writers in Kyoto主催「持続可能なツーリズムとオーバーツーリズム」シンポジウム開催報告
オーバーツーリズムに関心のある幅色い層が参加

Writers in Kyoto主催「持続可能なツーリズムとオーバーツーリズム」シンポジウム開催報告
オーストラリア領事館からの質問

リンク:Writers in Kyoto(英文)

※Writers in KyotoのHPでは、シンポジウム開催報告を英文で掲載しています。

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