図書館と観光の融合でにぎわいを創出 恩納村文化情報センター

呉屋美奈子恩納村文化情報センター係長

2019.02.20沖縄県

図書館と観光の融合でにぎわいを創出 恩納村文化情報センター
左奥の壁面には村内のオススメ情報やイベント情報などが掲載された「マップナビ」が、右奥には恩納村や沖縄北部の歴史的風景を集積している「キオクボード」を設置

観光フロア機能:地域のアーカイブとしての観光情報

 観光情報フロアはフィールドナビ、ブックストック、キオクボード、キオクバンク、マップナビ、おすすめカードのコンテンツで構成されています。

 フィールドナビは、利用者が自分自身の地図を作ることが出来る装置です。個人が興味をもったさまざまなカテゴリから行きたい場所を検索することができます。国立情報学研究所の連想検索というシステムを使っていて、おすすめの場所などを連想して抽出します。また、図書情報フロアの本のデータと博物館の収蔵物のデータも紐付けられていて、選んだ観光地から、所蔵のおすすめ本と収蔵品の情報提供もおこなっております。

 作製した地図で館内散策も楽しめるし、村内の情報も得ることが出来ます。また、ICタグを貼った本を展示しているブックストックから興味のある本をフィールドナビにかざすと、タグ付けられた観光地が表示されるので本の興味から観光地を探すこともできます。

 観光フロアの壁面一面を村の地図にし、村内や沖縄北部のイベントが一目でわかるように掲示しているのがマップナビです。行きたい場所に迷ったときは、村に縁のある人物がオススメのスポットを紹介するおすすめカードで行き先を決めることもできます。

 また、地域の情報を残す取り組みも行っています。観光コンテンツを模索していたころは丁度、古地図や古写真を使った観光サービスが全国でも注目されているころでした。恩納村へもそのような提案が複数あり、検討もしましたが、沖縄は第二次世界大戦で貴重な資料が散逸し、資料が残っておらず古地図や古写真という資料は残っておりません。そこで、発想を180度転換し、昔の情報を活用するのではなく今の情報を残していくということに重きをおくことにしました。

 今ある情報も10年、20年後には地域の宝になっているはず、そのような発想から生まれ地域情報のアーカイブ機能も備えているのが以下のコンテンツです。

 キオクボード:住民と一緒に村の記憶を残し作り上げる地図です。実際に地元の住民たちと村歩きのワークショップをして得た情報を載せています。観光情報誌には載らない村の情報が閲覧できるのが特徴です。また、参加者たちの「キオク」を集積しています。

 キオクバンク:地域住民と観光客、みんなで一緒に作り上げるフォトアーカイブです。HP上で村内外の利用者が恩納村の写真を投稿できるようになっており、そのデータベースを蓄積・公開しています。

 投稿の際の利用規約で権利関係のことも注記していますので、投稿されたデータは今後村が自由に使ってよいこととなっています。村の風景をストックし、将来的には村の写真集を作成するなどさまざまな場面での活用が期待されます。

図書館の機能

図書館と観光の融合でにぎわいを創出 恩納村文化情報センター
自慢の海が広がる読書スペース

 図書フロアの閲覧室では、東シナ海のコバルトブルーの海を眺めながら読書ができる眺望が自慢です。国内で海が間近にある図書館は当館だけではないとは思いますが、東シナ海の青さは国内でも有数です。「青くて綺麗な海が臨める」ということでは国内随一ではないかと自負しています。

 とはいえ、こちらのコンセプトについても建設時にかなり悩んだ点です。眺望を活かすということは窓を大きくとるということ。本に関係する者なら、太陽光が図書の劣化に大きく影響することは常識であり、建設後の長い運営を考えると判断に迷いました。

 そんな時に全国各地の図書館を訪れ、地域に根ざした活動をしている様子を拝見する機会が増えました。恩納村の図書館も「地域を好きになる 地域を誇りに思う」そんな場所にしたいと思うようになり、恩納村の自慢の海が広がる景色と読書スペースはきっと村民に愛される場所になるはずだと考えました。

 郷土書コーナーにもこだわりがあります。地域の図書館は地域の専門図書館でなければならないという思いを実現すべく、郷土書コーナーを敢えて大きくとりました。地域の情報に力を入れて収集し提供することで施設のコンセプトである観光に資するという目的も達成できますし、何より住民が地域を知り、住民のために情報を残していくことが最重要だと考えました。

1 2 3

スポンサードリンク

メルマガ登録

観光リ・デザインとは