ヒト・コト・モノに触れ、私らしく生きるヒントを見つける旅を仕掛ける水戸抄知さん
女子旅には首都圏在住の平均年齢29歳の女性が参加した
島根県では萩・石見空港(島根県益田市)の利用者増加を最重要課題の一つとして捉え、空港周辺の市町や山口県などで「協議会」を結成し、利用促進に向けたさまざまな活動に取り組んでいる。その一環で、しまね定住サテライト東京の人材誘致コーディネーターである水戸抄知(みと・さち)さんが、女子旅「Discover萩・津和野 ~旅でつながる旅からはじまる私もよう~」を企画した。水戸さんに女子旅がつくられた経緯やどのような旅かについて、話をうかがった。
萩・津和野の女子旅はどうやって生まれたか
水戸さんはこれまで、首都圏在住者を対象に、島根の移住につながるためのイベントを多数開催してきた。例えば島根にU・Iターンをした人から「教育」「子育て」「コミュニティ」「働き方」などについて紹介してもらい、人を通じて島根の魅力を感じてもらうのである。
人と地域を結ぶ仕事に長年携わってきた水戸さんは、島根で地域おこしやまちづくり活動をする人、行政の人、地元の人など、たくさんの人とのつながりを築いていった。
そんな中、山口県萩市と島根県津和野町を巡る旅が生まれるきっかけとなったのが、島根でコトの起こし方を見つける連続講座「しまコトアカデミー」での交流会である。津和野町教育魅力化コーディネーターの中村純二さん、俵種苗店店主の俵志保さん、たべるを主宰の國方あやさんなど、受講者の視察に協力したメンバーと、萩市でゲストハウスruco(るこ)を運営する塩満直弘さんらの間で、地域の壁を越えた豊かなつながりが育まれていることを知り、そのことが水戸さんの好奇心をかき立て、このメンバーと一緒に、‟ヒトとつながる旅”を企画したいと思うようになった。
そこで参考にしたのが1970年代から80年代にかけて流行した女子旅ブームである。萩と津和野はかつて「アンノン族」と呼ばれた若い女性がたくさん訪れていたところで、当時の女性は、旅を通じてその土地のヒト・コト・モノとの出会いの中から、新しい価値観を見つけようとしていたという。
水戸:旅を通じて自分を見つめなおすというテーマは生かしつつ、ヒトとの出会いを旅の中心に置くことで、‟ヒトを通じて地域を知る”をテーマに、移住や地域づくりといったことに興味を持っている女性をターゲットにした旅にするというアイデアが徐々に固まっていきました。
しかし水戸さんは壁に突き当たっていた。島根県の許可はおりたものの、山口県にアプローチする方法が見つからなかった。そこで水戸さんは萩市役所でのプレゼンテーションを決行。その時に出会ったのが、移住者向けツアーを担当する釼物佳代子(けんもつ・かよこ)さんだった。当時、釼物さんは新しい移住者向けの企画を模索していたタイミングだったこともあり、彼女の共感を得られたことが、女子旅実現に向けて一気に動き出す原動力となった。
水戸さんは、地元の旅行会社やウェブサイト「くらしまねっと」などに情報を掲載するほか、Facebookでの情報発信やこれまでつながりを構築してきたソーシャルコミュニティの中から参加者を集めていった。その結果、定員12名を集めることができたのである。
前列左端が釼物さん、プレートを持っているのが水戸さん
参加者は移住や地域のことなど共通の話題で盛り上がり、旅初日にもかかわらず、すぐに仲良くなっていた
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