「食」と「ものづくり」が地域の個性を高める
「燕三条 工場の祭典」のメイン会場となる三条ものづくり学校をピンクのストライプで彩る
写真提供:「燕三条 工場の祭典」実行委員会
日本の工場(こうば)はお宝の山
新潟県で毎年10月に4日間行われ、2017年で5回目となる「工場の祭典」は、主に燕三条地域とその周辺エリアのものづくりが中心となったイベントです。
この地域は昔から金属加工の街として、包丁やカトラリーなどの小さな生活用品から、精密機器の部品、厨房機器など業務用の専門的なものまで、さまざまな製品が作られています。全て手作業で行われる伝統工芸品もあれば、最先端技術を駆使したハイテク製品もあります。普段は見ることのできないさまざまなものづくりの現場を一般開放し、来場者がリアルに臨場感を味わえることがこの場所ならではの醍醐味です。
来場者、販売金額数は年々増加しており、第1回目の1万人から始まって、第4回には3万人を超え、2017年の第5回は5万人を超えたそうです。展示、物販、ワークショップ、工場見学ツアーなど、さまざまなイベントが盛りだくさんで来る人を飽きさせません。金属加工だけにとどまらず、「耕場」として農業関係、「購場」として販売業者なども加わり、2017年には103拠点が参加。また、この地域では、ドリップポットやドリッパー、ミルなど、コーヒー用品も多く生産されていることに着目し、そこにスポットを当てた「燕三条珈琲道具館」を期間限定でオープンしました。道具の展示や製造工程の紹介をするとともに、首都圏から有名店のオーナー等を招き、デモンストレーションやトークショー、試飲サービスなどを行いました。コーヒーという身近な飲料品を通してものづくりを紹介することで、より理解しやすく、親近感が増し、多くの共感が得られたようです。
KOUBAでは働く人々と気軽に交流、対話することができる(左)、第5回は、JR弥彦線車両に「工場の祭典」をイメージした装飾を行った(右)
写真提供:「燕三条 工場の祭典」実行委員会
地域を感じる「食+ものづくり」で、日本をもっと歩こう
それぞれの地域らしい特色を感じさせる「食+ものづくり」をテーマにした試みは、ものづくりが食を通すことで、興味を持つきっかけが増えること、地域の特徴を生かした魅力を表現できること、違う角度で驚きや発見が得られること、など多くの広がりが期待できると思います。食と、クラフトなどのものづくりは比較的容易に結びつきやすいので、まだまだ新しいアイディアが生まれ、トライする価値がありそうです。
■著者プロフィール
旅先では町歩き、はしご酒、土産探し、珍スポハンティングがライフワーク。
著書『青森・函館めぐり クラフト・建築・おいしいもの』(ダイヤモンド社)、『山陰旅行 クラフト+食めぐり』『酔い子の旅のしおり 酒+つまみ+うつわめぐり』(マイナビ)等。
酒蔵・酒場・酒屋めぐりをメインとしたツアー「だめにんげん祭り」主宰。
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