訪日ムスリム旅行者が本当に求めるおもてなしとは

守護彰浩フードダイバーシティ株式会社代表取締役

2018.01.09

 

訪日ムスリム旅行者が本当に求めるおもてなしとは
大阪にある日本食レストラン祭–MATSURI-では、食材だけでなく調味料などもハラールに対応しており、名物のたこ焼きも楽しめる

最近巷で耳にする「ハラール」とは?

 最近テレビや新聞で「ハラール」という言葉を耳にする機会が増えてきましたが、いまひとつ実態を掴めない方も少なくないのではないでしょうか?
 「ハラール=豚・アルコールを含まない食品」と捉えていらっしゃる方が多いようですが、厳密に申し上げると、それ ”も” ハラールと言うのが正しいでしょう。

 ハラールとは、イスラーム教の教えに基づき「許されたもの」を意味します。
 イスラーム教徒(以下、ムスリム)にとって、豚・アルコールは禁じられているので、それらを含まない商品は確かにハラール(許されたもの)です。
 しかし、正しくは「許されたもの・行為全般」を意味するので、食以外にもさまざまなルールがあることを認識した上でハラールビジネスに取り組むことが極めて重要です。

ハラール市場が注目を集める訳

 さまざまな理由が考えられると思いますが、一番の理由は「人口規模」と「経済規模」にあります。
 ご存知の通り、現在日本は急激な人口減少の危機を迎えています。

 2017年の日本の人口は約1億2,000万人ですが、約30年後の2053年には1億人を切るといわれているほどです。注1)
 一方、世界のムスリム人口は2010年時点で16億人と、世界人口の約4分の1を占めており、市場規模にして100兆円の巨大マーケットといわれています。注2)
 また、ムスリムの平均年齢は23歳で、ノンムスリムの平均年齢が30歳であるのに対し、若年層が多くを占める点も注目を集める要因の一つです。

訪日ムスリム旅行者が本当に求めるおもてなしとは
図1 ムスリムとノンムスリムの比較

 「2050年には世界人口の3分の1をムスリムが占める」ともいわれており、世界中がムスリム市場を成長マーケットとして注目しています図1注3)

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