地域の人、地元の農家と触れあい、豊かさを思い出す KitoKitoマルシェ クリエイティブディレクターの吉野敏充さんに聞く
DVDのデザイン会社から転身
新庄市出身の吉野さんは、デザインの専門学校に通うため上京、そのまま東京でDVDのパッケージをデザインする仕事に就いた。吉野さんが所属していた部署が社内で独立する際には、上司から声を掛けられ、その会社の代表取締役に就任、経営者としてもデザインに携わってきた。
吉野:代表取締役なんて、なかなか経験できることじゃないし、せっかくだからやってみようと思ったんです。もちろん大変な仕事でしたが、経営を実践で学ぶことができとてもいい経験になりました。
そんな吉野さんが新庄に戻るきっかけとなったのは、(株)地域カンパニーが運営する「(倅)せがれ」というプロジェクトである。実家の農家を継がずに東京で働く農家の息子(セガレ)や娘(セガール)が、東京でマーケットを開催し実家や地元のものを販売するというものだ。
吉野:実家の農家を継がずに東京に出てきている人たちが、その後ろめたさを何とかしようと始まったプロジェクトで、同じ立場の者として興味を惹かれて参加しました。実際にマーケットに参加してみると、野菜を並べておくだけで売れるわけではありません。新庄の野菜のいいところ、おいしい食べ方などをお客さまと会話をして伝えることが大切でした。そこで、地家で農家を営む父に電話をして野菜について教えてもらい、そこで得た知識を生かしてマーケットでお客さまと話すようになりました。そうしているうちに地元に魅力を感じるようになり、地元でもやってみたいと思うようになったのです。
最初に出店したのは、山形市の中心部で開催されていたマーケットだった。しかし、そこに集まってくるお客さまは、安さや量を求めている人が多く、違和感があった。吉野さんは、売ることが目的ではなく、人と人が触れ合うことができるマルシェをやりたいと思うようになった。
そんなとき、市の商工観光課から、エコロジーガーデンを観光として利用できる場所にしたいという話があり、吉野さんが理想としていた形のマルシェ実現に向けて動き出した。それがKitoKitoマルシェである。
エコロジーガーデンには、国の登録有形文化財に指定されている建造物が並ぶ
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