「こうだったらいいのに」を形にする、その楽しさを共有する 岐阜県美濃加茂市「SWEETS WALK」
よりよいスイーツウォークを目指して
ハピネットは多方面とのネットワークを持つ。イベントは他団体と連携して行うことも多い。また渡邉さんはハピネット以外にも、ビアツーリズムや水辺でプレゼンを聞くイベント、商店街のビルの改装など、さまざまな活動の実行委員などとして活動しているため、その中でハピネットがチラシ・パンフレット製作などを行うという形で連携することもある。
そうした中で出会う、例えば定年を迎えたばかりの男性たちは、ハピネットのイベントが活躍の場になっている。またボランティアの高校生、大学生もおり、市議会議員の中にも協力してくれる人がいる。そして、イベントに向けて開催場所などさまざまなことを相談するうち、市役所の職員とともに活動することも増え、気軽に話のできる人もできた。
美濃加茂市では以前から、地域の「顔」、「誇り」となる水辺空間の形成を目指す、国土交通省の「かわまちづくり」支援制度を活用し、木曽川の河畔沿いと市街地とを結ぶ「かわまちづくり事業」を実施していた。その中でさまざまな企画の需要などを調べる社会実験を行っていた。例えばアウトドアプログラム体験の実験でヨガの講座を開催するなど、ハピネットもさまざまな形で協力していた。
さまざまなかわまちづくり事業が企画される中で「ころんと出てきた」のがスイーツウォークのアイデアだった。
他のまちでスイーツを食べながらマラソンをするイベントがあると聞き、美濃加茂市にはいろいろなスイーツの会社があるのでやってみてはどうかという話が出た。しかし、マラソンよりもウォーキングのほうが、ベビーカーを押す母親やお年寄りなど、多くの人が参加できるのではないかと渡邉さんは考えた。スイーツウォークなら美濃加茂の産業の活性化にもつながり、健康増進にもなり、スイーツや景観など自分のまちのよさも再発見できる。
商工会議所の協力を得て、製菓企業に最初に話をしてもらい、スイーツを原価で提供してもらえることになった。
一つの会場でのイベントはそれまでにも何度も開催していたが、全長約5㎞というコースで数か所に分かれた会場を取り仕切るのは、全く別の大変さだったと渡邉さんは話す。
SWEETS WALK 2014の様子
SWEETS WALK 2014でスイーツ配布
1年目はスイーツの配布場所で行列ができて、人の流れが滞った。次の年は机の両側からスイーツを取れるようにしたが、それでも行列ができた。同じスイーツを4列に置くことにしたが、ボランティアの数は倍になり、より複雑な指示系統が必要になった。
回を重ね、大きな混乱もなく運営できるようになったが、渡邉さんは常に、よりよいやり方を考えている。スイーツ提供企業への対応、コースの装飾、当日のホスピタリティなど、考えることはいくらでもある。
渡邉:もっとプロの仕事がしたいです。例えば毎年オブジェをつくっていますが、全国で通用するものかというとそうではない。既成感がなくて、いいなと思うものを微妙なところまでこだわりたいです。
今年のポスター。字体にもこだわった
ポスターも、メンバーのデザイナーと何度も直し、細部にまでこだわっている。
昨年のテーマは「多文化」だった。美濃加茂市には工場で働くさまざまな国の人が住んでいる。これを生かして、さまざまな国のスイーツを並べる企画を行った。
今年のテーマは「ハロウィン」だ。「いつも仮装して参加する人がいるので、一度はやっておきたかった」という渡邉さん。このテーマに合わせて飾りなどを準備し、開催日も10月とし、衆議院議員選挙日と重なったが、投票証明書を見せるとプレゼントがもらえる企画を準備した。
渡邉:ピンチをプラスに、面白さに変えようと思っています。
スイーツウォークを通して伝えたい美濃加茂の魅力はまず「人のよさ」だと渡邉さんは話す。もともと美濃加茂は宿場町で、代官所もある人が行き交うまちだった。「ボランティアの人や、まちの人から人のよさが伝わるのではないかと思います」と渡邉さん。
仮装して参加するボランティアスタッフも
そしてコースからの景観も魅力だ。さらに、それが名古屋から車で約1時間の場所にあるというアクセスのよさも、参加者は感じることができる。
ただ、渡邉さんが大切にしているのは、やはり「こうだったらいいのに」を形にすること、そして「美濃加茂の人と一緒に盛り上げる」ことだ。
渡邉:盛り上げる楽しさを知ってほしいです。お客さんよりスタッフの方が楽しいです。楽しさを味わってしまうとやめられません。
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