食文化体験は訪日観光の新たなトレンドに ――外国人向け料理教室主宰・秋山亜裕子さんインタビュー
自国で再現できるよう代用方法も教える
―実際に料理教室に参加された方からはどんな反応がありますか?
秋山:「日本食はシンプルだけど、素材が大事」と皆さんよくおっしゃっています。魚市場で魚の神経締めや血抜きを見た人は、「魚を殺すことからこんなにこだわっているのか」と驚かれます。
照り焼きに関しては、海外で売られている照り焼きソースとの違いにびっくりされますね。海外の照り焼きソースはもっと甘く、ドロっとしているそうで、みりんとしょうゆと酒だけで出来ている本場の照り焼きは意外と馴染みがないようです。
料理教室は、お金を払って体験するアクティビティですが、「教えてくれてありがとう」と感謝の言葉をいただけることは、私としてもとても心が温まります。ある程度お金を払って教えてもらうことは大事であるという価値観が、外国人の方から伝わります。
帰国後、「早速料理を作ってみたよ」と写真を送ってくださるのも、とても嬉しいですね。料理教室では家でも再現できるようなレシピを心がけています。代用できそうな食材も教えて、例えば片栗粉が手に入らなかったら、コーンスターチでもいいよとか、照り焼きを作るのにみりんがなければ、お酒を多めにしてグラニュー糖で照りを出してもいいよとか、そういった情報も伝えています。
特に東日本大震災以降は、日本産の鰹節や昆布の輸入が難しくなっているため、顆粒のかつおだしの素を教えたりして、全ての素材が揃わなくてもなるべく再現できるように最大限のお手伝いをしています。
秋山さんが巻き寿司の巻き方の見本をみせる
「上手く巻けた!」満足の表情
巻き寿司の出来栄えに感激
―料理教室と一緒に、築地市場やかっぱ橋(調理用具が豊富にそろう都内エリア)に行かれる方も多いのでしょうか?
秋山:世界で一番大きい魚市場である築地市場には皆さん興味があります。そこで働く人々が目利きし、真剣に魚を下ろす姿には、ただならぬ職人技を感じるようですね。
調理器具に興味を持たれる方も多く、料理教室で弁当箱やすり鉢、卵焼き器を見て、教室の後にかっぱ橋に買いに行かれる方もいます。
あとはラップについて聞かれることがあります。日本はさまざまな大きさの皿があるので、実はラップのサイズも豊富です。海外だと幅が広いサイズのラップしかないので、「どうしてこんなに小さいの」と感動される方もいます。料理ごとに皿があるので家で洗うの大変ですねと指摘されますし、気づくことも多いですね。
自分で作った寿司と記念撮影
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