食文化体験は訪日観光の新たなトレンドに ――外国人向け料理教室主宰・秋山亜裕子さんインタビュー
外国人がイメージする日本食といえば、寿司や天ぷらなどが定番だったが、最近ではラーメン屋が海外に進出したり、弁当が人気になったりと、日常的に食べる日本食も外国人にとって身近な存在となりつつある。
日本食に興味を持った訪日外国人客が増える中、東京・神保町で外国人向けに料理教室を開いているのが秋山亜裕子さん。主宰する「ブッタベーリズ クッキングスクール 東京」は、世界最大手の旅行口コミサイトトリップアドバイザーで「東京ですべきこと」931アクティビティ部門で1位を獲得し、年間1,300人もの外国人が参加する人気の料理教室となっている。
外国人にとっての日本食の魅力は何か、日本食を教える上で何が大事かについて、秋山さんに話をうかがった。
食文化を学ぶ楽しさをタイの料理教室で発見
――なぜ外国人向けに料理教室を始めようと思ったのですか?
秋山:きっかけは十数年前にタイで参加した料理教室でした。
もともと学校で英語を教えていて、よく海外旅行に出かけていたのですが、世界トップレベルの観光立国であるタイのバンコクでタイ料理の教室に参加したところ、非常に面白く、食を通してその国の文化を学ぶことにとても魅力を感じました。
そのころまだ日本には外国人向けの料理教室はほとんどありませんでしたが、タイではすでに20~30軒ほどあり、料理以外にもさまざまな観光のアクティビティがありました。
その料理教室では、早朝にマーケットを見学し、食材を仕入れ、実際に自分たちで調理し、食べることまで一緒に行っていました。
カレーペーストも、ココナッツの実を買って、削って、ミルクを搾り出してと一から作りました。一番搾りはココナッツクリームになり、二番搾りはココナッツミルクになり・・・と、ただ食べるだけでなく食材を知ったことも勉強になりましたね。
同時に、料理は人と人をぐっと親密にすることにも気づきました。
別の国から来た旅行者でも、数時間一緒にテーブルを囲むと親しくなり、「今日はこの後どこに行くの?」「今度一緒にどこかでご飯を食べようか」など会話が自然と生まれます。興味のある料理を通じで世界の人と知り合えるのも魅力的でした。
その後、「日本食を学んでみたい」と言っていた外国人の友人に料理を教える機会があり、そこから口コミで広がり、人数が増えてきたので2011年に「ブッタベーリズ クッキングスクール 東京」を立ち上げました。
この日はブッダベリーズ クッキングクール 東京でお寿司レッスン。テーブルを囲むと初対面でも会話が弾む
―参加者はどんな日本食に興味があるのでしょうか?
秋山:お寿司や、最近ではうどんが人気です。うどんは、以前はそんなに知られていませんでしたが、関西風うどんの外食チェーンが海外に進出したこともあって、ラーメンの次に浸透しているようです。
参加者は普段から日本食を食べている方が多く、家にみりんがあると答えた方は八割に上ります。アメリカ、イギリス、オーストラリアからの参加者が多く、シンガポールや香港、マレーシアから参加される方も時々いらっしゃいます。
初来日の方もいますが、自国で日本食を作った経験があり、作り方をきちんと学びたいと申し込まれる方が多いですね。
一汁三菜の和食、握り寿司、飾り巻き寿司、うどん、お弁当、すき焼きなどを基本的に教えていますが、参加者のリクエストによってはベジタリアン料理にしたり、とんかつや餃子を作ったりと、メニューは柔軟に変えています。
本を使いながら寿司の歴史や特徴などを丁寧に説明
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