OpenStreetMapとTwitterのつぶやきを活用した観光地図「てくぬま」を作成 地域の課題をみんなで解決するCode for Numazuの活動

市川博之Code for Numazu代表、静岡県地域情報化コーディネータ

2017.04.10静岡県

WikipediaTownで価値ある文化財情報の提供を実現

OpenStreetMapとTwitterのつぶやきを活用した観光地図「てくぬま」を作成 地域の課題をみんなで解決するCode for Numazuの活動
沼津市の文化財情報を拡充するため、WikipediaTownへの情報記載を4月9日に実施した。WIKIPEDIATOWN IN 沼津 

 情報は、検索できなければ価値がありません。沼津市には検索して出てくる情報が十分でないものがまだ多いです。その1つとして、沼津市は「沼津市指定文化財等一覧表」というpdfを公開していますが、それぞれ検索にかけても情報量は非常に乏しい状態です。文化財センターの方たちも人手が足りず、整備をやりきれていない現状があります。

 そこで、公民連携の一環として、沼津市の文化財情報の拡充を図るためWikipediaへの情報の記載をWikipediaTown という取り組みでCode for Numazuが実施することになりました。

 WikipediaTownでは、誰でも編集・利用できるネット上の百科事典Wikipediaに、現地での確認と詳しい方からのヒアリング、図書館で第三者が検証できる追加情報の調査などを行い、Wikipedia上に記入をしていきます。その効果としては、地域の情報が世界中から見られるようになる、地域・観光の活性化につながる、二次利用が可能なため観光ガイドやアプリへ最新情報を提供できるなどが挙げられますが、市民の皆さんのシビックプライドを向上させることで、それぞれが情報発信できることも強みだと考えています。

 このプロジェクトについては、ある程度記載された段階で、若者たちに今まで知らなかった重要文化財情報を活用した若者向けのアイデアソンを開催したり、観光客向けに印刷できるよう整備したりすることを考えています。

東部での今後の取り組み、地域に根ざした観光情報

 三島市では、ICTみしまというシルバーボランティアと一緒に、古写真を集めて、現在の場所と古写真を突き合わせて地図上で確認できる仕組みを作っています。シルバー世代が持つ歴史的価値のある写真をもとに、孫の世代を含めた3世代でのまち歩きを通じ、世代間交流、シビックプライドの向上、その結果としての観光ボランティアへの情報活用の実現を狙っています。

 伊東市では今年3月、観光トイレの情報をオープンデータで公開しました。今年は市政70周年ということもあり、温泉の情報をはじめ、観光に使える情報は何かを考える取り組みを市民と一緒に進めていきます。まだ、データが少ない状況なので、公民連携を通じて必要な情報を共に考え、地域の価値を高めていく予定です。

 情報やICTは、各地域の状況に合わせて、その地域で本当にやりたいことを持つ人たちと、継続的に続けられる仕組みが作れるかどうかが課題になります。一度作って終わりではなく、続けられる情熱、ないし仕掛けが必要となります。観光のようにずっと続くものであれば、なおさら観光戦略として一番重視すべきポイントです。

広域と地域の関係が楽しいまちを生み出す

 私は、広域で同一的に整備すべきデータ(宿泊施設、公共施設、避難所、バス停など)と、地域ごとに特徴のあるデータの活用方法は共存できると考えています。広域全体で魅力を出し、各地域の違いを楽しんでもらう。地域内で観光客の取り合いをするのではなく、リアルタイムで、差別化されたデータを地域の皆さんで作り出し、今日はここがよいかな? いや、こっちはどう? と観光客個人が判断できる情報を作り上げていくこと。それが今後、いつ来ても楽しい静岡東部というイメージを持ってもらうためのキーになってくると思います。

リンク:Code for Numazu 

 

著者プロフィール

市川博之

市川博之Code for Numazu代表、静岡県地域情報化コーディネータ

産業能率大学情報マネジメント学部卒。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社勤務。移動車両管理、交通プローブ調査、カーナビゲーションシステムの地図編集・開発のエンジニアを経て、現職。
専門はシステム開発、GIS、地図データ整備など。

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