世界中から友達がやって来るWWOOF
地域に刺激を与えるウーファーたち
ウーファーは、日本より、アメリカ、台湾、フランスなどから来る人が7割以上で、外国人が多い状況です。
いわゆる限界集落と言われているような田舎の場合では、そんなウーファーがやって来たらどのような反応となるのでしょうか。驚き、そして拒否されてしまうのではないかなどと不安を感じていましたが、杞憂でした。実際にはその反対で、地域のお年寄りから「次はどこの国から来てくれるんだろうね。楽しみだね」と尋ねられ、地元の人たちの多くは、ウーファーたちの来訪を心待ちにしていました。
先月は、剣道好きのカナダからのウーファーが、近所の人からも気に入られて、竹刀をプレゼントされました。ウーファーにバイオリンを聞かせてあげている近所の若者もいます。ウーファーにアイスキャンデーをくれる近所のおじさんもいます。ウーファーの人生相談を引き受けている近所のおばあさんもいます。ホストだけでなく、地域の人たちも、日本各地、世界各国からはるばるこの地にやって来てくれる人に、何かしてあげたいという気持ちが芽生えるようです。
それは、ウーファーも心を開いているからでしょう。しかめっ面で、近所の人たちに挨拶せず、自分の世界に入ってしまっている状態なら、周りの人もそのバリアを感じて深く入り込もうとしないはずです。しかし、ウーファーのWWOOFの目的は「人との出会い」なので、さまざまな人と仲良くなりたいと、オープンな気持ちで、フレンドリーに振る舞おうと努力する人が多いのです。
ウーファーたちはホスト家族の一員として地域行事にも貢献しています。中学校の英語授業に参加して、紙風船やコマで生徒と交流したり、小学校の運動会に参加して場を盛り上げたり、お祭りの神輿を担いだり。期間はごく短いですが、地元に密着して活躍しています。
こんなこともありました。オランダからのウーファーは、ホストである90歳近くのおばあさんと農作業をしていると、おばあさんが熱中症で倒れてしまいました。ウーファーは、驚いたのと同時に機敏に行動し、おばあさんを背負って畑から自宅まで急いで連れて行きました。手厚く介抱しましたが、おばあさんは入院し、そしてその後、残念ながら葬儀となってしまいました。ホスト家族が狼狽し、悲しみにくれ、親戚や地域の人が集まり多忙にしている中、ウーファーはそこを出てしまうのではなく、ホスト家族の気持ちを深くくんでいたわり、周りの人たちが気を回すことができなかった家事を自ら率先してやり遂げました。
興味深いことですが、ウーファーの幸せの度合いが、WWOOFをすることで高まったことが分かりました。10点がとても幸せ、0点がとても不幸という範囲で、「どのくらい幸せに感じているか」を質問したところ、日常生活をしているときは、平均6.9点でした。他方、「WWOOFホストで生活しているときはどうだったか」と尋ねると、平均8.2点だったのです。幸せなホスト家族と一緒にいると、幸せは伝播するでしょうし、自分はホストで役に立っている、ホストから認められているんだ、とストレートに感じることができ、それが心の深いところにもじわじわと浸透していくからでしょう。
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