城あるところに忍者あり、地域の忍者を世界へ 日本忍者協議会

2016.05.20

リアルとファンタジーの融合で「かっこいい」忍者を

 忍者は外国人には人気だが、「日本ではいまいち人気がない」と立石さんは話す。

立石
「4,5年前にこの活動を始めたときには、なぜ今忍者なのか、どこがおもしろいのかと、10人会えば半分以上の人に言われました。しかし、東京五輪の行われる2020年以降も含めて、忍者が日本の重要な文化資産になるという確固たる信念は、この何年かの間ぶれていません。

 欧米の方は日本と忍者観がまるで違っていて、本当にかっこいいと思い、ヒーローだととらえています。しかし日本では、『NARUTO-ナルト-』『忍たま乱太郎』『忍者ハットリくん』といった漫画やアニメが有名で、子ども向けのコンテンツというイメージが強いです。外国人の忍者観を逆輸入して日本で展開すれば、新しい、いいコンテンツが立ち上げられるのではないかと思います」

 立石さんは忍者の魅力をどのように考えているのだろうか。魅力の一つとして、立石さんは「歴史上に実在したこと」を挙げる。

立石
「室町後期以来、忍者が活躍したという事実があります。江戸時代にも、江戸城の百人番所(根来組、伊賀組、甲賀組、廿五騎組が交代で詰めた検問所)などに忍者がいました」

 こうした、実在していた記録が残っているものだけでなく、「私たちの考えは“お城あるところに忍者あり”です」と立石さんは話す。その性格上、忍者がいたという記録が残る地域は多くはないが、「敵の情報を収集するなど隠密的な活動をしていた人は必ずいた」と立石さんは考える。

 さらに「そうした忍者を地域のいろいろな伝統文化と密接につなげることによって、地域独自の忍者が生まれます」と立石さんは話す。記録に残されていなくても、さまざまな地域で、その地域に過去にいたかもしれない集団として、地域の歴史や伝統文化と自然な形でつながるような忍者像を提示し、忍者を活用した取り組みを行うことができるということだ。こうした忍者は決して作り話とは言いきれず、地域の歴史などをよく研究したものであるほど、地域の人にも観光客にも受け入れやすくなるだろう。

立石
「その地域の城や大名のもとで忍者がどのように隠密的な活動をしていたかと考えると、ロマンをかきたてられますよね」

 こうした歴史や地域文化の研究に基づく忍者像がある一方、アニメや映画などによる忍者像も存在する。

立石
「忍者には、ファンタジーとリアルと二つの面があります。ファンタジーの面も現代の文化資産なので、それはそれで応援したいですし、二つの面をうまく融合させて、世界に向けて発信していきたいと思います」

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