城あるところに忍者あり、地域の忍者を世界へ 日本忍者協議会

2016.05.20

 「忍者」は映画やアニメなどの影響もあり、特に外国人にファンが多い。訪日外国人観光客にも、忍者体験のできる施設などが人気を集めている。
 こうした中、昨年10月9日に「日本忍者協議会」が設立された。構成員は神奈川県、長野県、三重県、滋賀県、佐賀県、神奈川県小田原市、長野県上田市、三重県伊賀市、滋賀県甲賀市、佐賀県嬉野市、伊賀上野観光協会、小田原市観光協会。現在は愛知県、長野市、三重県名張市、和歌山市も加わっている。

 日本忍者協議会は何を目指して設立され、どのような活動を行っていくのだろうか。日本忍者協議会事務局長立石邦博さんに話を伺った。

日本忍者設立協議会設立記者発表会
日本忍者設立協議会設立記者発表会

情報を集約、連携して取り組む

 立石さんはもともと、テレビ局関連の番組制作会社プロデューサーだ。

立石
「ずっと番組やイベントを制作していましたが、最近はなかなか自分たちで自由に扱えるコンテンツをつくることができていませんでした。そのようなコンテンツを開発したいと考えたときに、日本に来る外国人が忍者に大変関心を持っていることに目を付けました。しかし調べてみると、日本で忍者に関係する窓口もなく、情報も集約されていませんでした」

 立石さんはまず、伊賀忍者発祥の地、三重県伊賀市の伊賀上野観光協会を訪ね、忍者についていろいろな調査や相談を行った。そして海外向けの忍者番組の企画を立て、アメリカのテレビ局にてパイロット番組の制作を行った。放送には至らなかったが、その後も足しげく伊賀に通い、現在もその関係は継続している。

 一方、元観光庁長官の溝畑宏氏も、忍者で何か取り組んでいきたいと考えていた。立石さんの活動を知る人が溝畑さんに紹介して二人が出会い、意気投合。さらに三重県の鈴木英敬知事と話す中で、日本忍者協議会を設立しようという話になり、忍者ゆかりの自治体に声をかけていった。
 伊賀流忍者博物館があり「伊賀上野NINJAフェスタ」が恒例となっている伊賀市や、甲賀流忍者の末裔を探す「甲賀流忍者探偵団」のプロジェクトを平成27年度に行った滋賀県甲賀市、風魔小太郎を頭目とする忍者集団、風魔一族を生かした取り組みを始めた小田原市など、忍者を生かした取り組みを行う地域は増えている。
 しかし、地域同士が連携した取り組みはそれまで行われていなかった。

伊賀上野NINJAフェスタ伊賀上野NINJAフェスタ
伊賀上野NINJAフェスタ

立石
「自治体が個別に取り組んでいると、パンフレットをつくる場合でも費用も手間もかかるし、日本政府に働きかけるのも大変です。集約する団体をつくることで、一つのパンフレットに汎用性を持たせ、内閣府や総務省などにも働きかけやすくなります。また一つのホームページに各地の情報を集約できれば、海外のお客さんも、幅広く深い情報が得られるのではないかと考えています」

1 2 3 4

スポンサードリンク