観光資源としての城 「個性」を生かした活用プラン
ARを活用した福岡城のデジタル回遊ツアー
福岡城むかし探訪館の「鴻臚館・福岡城バーチャル時空散歩」。姫路城でもARやCGを活用した展示・解説が開始し、今後は全国の城での導入が予想される。(撮影/桂伸也)
たとえば福岡城(福岡県福岡市)では、AR(拡張現実)技術を活用したデジタル回遊ツアーが3年前から導入されている。
タブレットをかざすことで、失われた建物や城下の風景が映し出され、往事の姿をバーチャル体験できるのだ。福岡城最大の個性である黒田家による全国屈指の石垣を傷つけることなく、また妄想を楽しみとする観光客をがっかりさせることなく、知り得ぬ世界を見せてくれる。
江戸時代の風景を取り戻しつつある彦根城
彦根城(滋賀県彦根市)では、江戸時代の風景を取り戻すべく数年前から城を取り巻く樹木が積極的に伐採されている。
彦根城の個性である現存天守・櫓や石垣は、まるでスポットライトが当てられたように際立って見えるようになった。些細なことだが、観光客にとってはうれしいおもてなしだ。無論、石垣の崩落などに悪影響を及ぼす樹木の伐採で、文化財保護的な観点からも配慮されている。
木々が伐採された彦根城(滋賀県彦根市)。彦根市では、日頃は非公開の場所を文化財課の職員の解説のもと歩く見学ツアー「彦根城探検隊」を積極的に行うなど、文化財の理解にも努めている。定員を超える大盛況だ
可後森城の国獲り合戦イベント
可後森城(愛媛県松野町)では国境の城という個性を生かし、国獲り合戦イベントの定着化が進められている。
実態が理解しにくい古代城柵の理解を深めてもらおうと、志波城(岩手県盛岡市)ではアニメーションが制作された。観光客との距離をいかに縮めるか、を考慮したアイディアと工夫が印象的だ。
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