観光資源としての城 「個性」を生かした活用プラン
城の個性を生かす
観光資源としての城の活用を考えるとき、重要なことは「個性をいかに生かすか」に尽きる。
城は実に個性的で、2つとして同じものがないのが最大の魅力だ。十人十色の人生のように、数百年の城の歩みにはそれぞれドラマがある。城主が変わればリフォームされ、城主の社会的地位や財力、センスも反映される。時代によって姿・形・規模の流行、求められる役割や望ましい立地も変化する。日本人が知恵を絞って生み出し美意識と技術を詰め込んだ結晶は、時代の波に翻弄されながら姿や役割を変え、壊され守られながら現在にいたるのだ。
そうした本質が注目されはじめた今、建造物の残存度だけで価値は決められない。
「個性をいかに生かすか」とは、「観光客にどのようなプレゼンテーションをするか」と同義だ。料理に例えるならば、目の前の食材をどう調理・演出し、極上の逸品として提供するか、ということ。相手は学者や専門家ではなく観光客なのだから、エンターテインメント的な発想も必要に思う。
松江城(島根県松江市)。昨夏、天守が国宝に指定され、観光客が増加している。天守の国宝は63年ぶり
スポンサードリンク