ジオパークを活用した観光

深見聡長崎大学大学院准教授

2012.05.01長崎県

 2011年9月現在、日本ジオパークとして認定された地域が20の節目に到達した。そのうち、洞爺湖有珠山・糸魚川・山陰海岸・室戸・島原半島がユネスコから活動の支援を受けている世界ジオパークネットワーク(GGN)に加盟認定されている。

 ジオパークとは「生態学的もしくは文化的な価値のあるサイト」を含む大地の遺産(Geoheritage)のことであり、その保全や保護とともに、観光や環境教育を通した持続可能な社会・経済発展を目指すものとして、徐々に国内での認知度も高まりつつある。

 ジオパークで展開される観光のことを「ジオツーリズム」という。このなかでは、地球科学的な見どころ(ジオサイト)について、地球科学的なプロセスを学ぶことが柱として存在し、考古学・生態学・文化的な価値も地質遺産の一部として扱われる。

 また、ジオツーリズムは静態的な存在にとどまらない。景勝地や施設といったジオサイトを単に「見学」するのではなく、「景勝地(大地の変動が織りなした存在)の成り立ちを知り、施設で大地の遺産の全体像を学び、追体験する、恩恵に浴する」といった動態的なフィールド活動である点に大きな特徴がある。

 これを支えるものは何か。来訪者を感動させる自然景観も欠かすことはできないが、何といっても「物言わぬ」存在である地域資源を活かす「人びとの連携(ネットワーク)」である。

 とくに、最近の観光形態として、周遊型から個人や小グループの関心が出発点となった体験や参加の機会を求める目的型への転換が俄然注目を集めるが、ジオパークはまさしくこの展開に合致する仕組みとして、「人びとの連携」に根ざしたジオツーリズムが具体的に動き出している地域なのである。

 もちろん課題もないわけではない。特に、ジオパークは「外部」からの高い評価を受け認定されている。その際、ジオサイトについては地球科学という学術面からの評価を行う必要があり、研究者の存在は不可欠である。それだけではなく、その内容を地域住民が理解し共有していなければ、持続的な活動は望むべくもない。観光客に対しても同様である。

 ヒントとなる事例として、島原半島ジオパークで継続して実施されている「市民向けジオツアー」が挙げられる。ジオパークの仕組みを活かした観光を確立していくには、地域の人びとの理解や関心といった裾野を、地道ではあるものの着実に拡げる取り組みが重要である。

著者プロフィール

深見聡

深見聡長崎大学大学院准教授

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