能登半島の先で旅人の心を楽にする「小さい港のゲストハウス」(石川県珠洲市)

2015.03.16石川県

移住したい人の入り口に

波が高く寒い日、植物性プランクトンの粘液が岩にぶつかって空気を含んでできる「波の花」 ©石川県観光連盟
波が高く寒い日、植物性プランクトンの粘液が岩にぶつかって空気を含んでできる「波の花」©石川県観光連盟

 珠洲を訪れる人々が楽しくて楽な時間を過ごせるよう、日々考えている二人。二人は、これからの珠洲にどうなってほしいと思っているのだろうか。

信子:「こういう楽な宿がもっと増えて、珠洲で連泊したり、うちが満室のときに紹介したりできるといいですね。きちんとした昼食がとれるお店も、もっと増えてほしいです」

 珠洲への移住者の中にはそうした店を開いた人もいる。信子さんは「たくさんの人に来てほしいし、住んでほしい」と話す。

信子:「医療や移動手段の問題もあるので、年を取ってから突然だと住みづらいと思います。若いときに長期滞在して、冬など厳しい時期も見てほしいですね。移住を考えている人にも泊まってほしいです。紹介したい人もいるし、空き家の探し方も話せます」

珠洲への移住希望者がゲストハウスを訪れることも多い
珠洲への移住希望者がゲストハウスを訪れることも多い

 自身も能登出身ではない信子さんは、移住希望者のサポートに自分の役割を感じているようだ。

信子:「都会から移住する人がこれから増えると思うので、何から始めたらいいかわからない人の入り口になることも必要なのではと、最近思うようになりました。そうした受け入れも今後やってみたいですね」

 ちなみに前述の東京の大学のゼミでは、11人のうち3人が珠洲や輪島など能登半島で就職し、移住したそうだ。信子さんは彼女らの悩みを聞くこともあるという。

 3月14日には北陸新幹線が開通したが、その波及効果は珠洲にもあるのだろうか。

信子:「ここは金沢からさらに車で2時間半かかるので、あまり期待できないと思っています。むしろ、芸術祭に期待しています」

 芸術祭とは、2017年秋に珠洲市一帯で初開催される予定の「奥能登国際芸術祭」だ。アーティストが滞在して作品を制作しながら、住民やボランティアと一体となってつくりあげる芸術祭は、多くの人が訪れるきっかけになる例も多い。

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