ボルダリングで金華山の復旧・復興に取り組むNPO法人FIRST ASCENT JAPAN.
復旧が進んでいなかった金華山
――金華山の復旧・復興に向け、どのような活動から始めましたか?
むらかみ: 震災前の金華山では登山やボルダリングをはじめ、3年続けてお参りすれば一生お金に不自由しないと言われている「黄金山神社」、弁財天が降臨したとされる巨岩「天柱石」などの観光スポットに多くの人が訪れていました。それらがどんな状況か確かめようと、2013年3月に金華山へ行ったところ、道路や登山道は波にさらわれて崩れ、木は倒れたままで、私が予想したよりも、復旧が全く進んでいなかったのです。ただ当時は、復旧は誰かがやってくれるだろうと甘く考えていたので、まずは金華山でボルダリングができるエリアの調査だけを進めていました。
3回目の調査のときに、黄金山神社の方から「参道の整備を手伝ってくれませんか」と声をかけられたことがきっかけで、復旧作業も行うようになりました。
しかし、重機がないため人力で作業しなければならず、また「政教分離」の考えから神社は公的な支援が受けられないため、整備は一向に進みませんでした。これでは5月の「巳歳御縁年大祭」本祭を迎えられないと考え、ボランティアを全国から募集しました。
神戸、埼玉、山形など県内外から100名の参加があり、2日間で土砂や丸太の撤去、室内に入った泥のかき出しなどをしました。これにより祭事は無事に行うことができましたが、まだ完全復旧には至らず、整備の必要な所が今も残っています。現在は、「天柱石」につながる遊歩道の一部や、「黄金山神社」からボルダリングエリアにつながる登山道など、金華山全体の登山道整備を進めています。
――登山道の整備ではどんなことが課題ですか?
ボランティアと一緒に登山道を整備
むらかみ:整備には何度も通う必要があるため、一番の課題は資金面ですね。定期船がないので、1台チャーターすると往復30,000円が必要です。また、草刈り機、チェーンソーなど小型作業道具が購入できず、毎回ボランティア参加者に私物を持参してもらっており、非効率的です。
金華山の登山道整備が早く進めば、ボルダリングエリアの開拓や森林調査に向かうことができますが、「黄金山神社」付近以外のほとんどが当時国定公園に指定された国有地のため、一部の道路整備申請だけで1年以上かかってしまいました。他の登山道整備の許可も現状では難しいという問題があります。
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