観光客の安全は住民の防災意識から 神奈川県鎌倉市
すぐに伝わるサインと声掛け
市民を巻き込みながらさまざまな情報発信や啓発を行っているが、「観光客の方々に、どれだけの情報を伝えるのがいいかは難しいですよ」と長﨑さんは話す。
長崎:
「駅前でハザードマップを配るのも一つのやり方かもしれませんが、もし自分が観光に行ってそれをもらったら“観光地図じゃないのか”と思うでしょうね。避難所のアプリがあっても、1日だけ行く場所で、ダウンロードする人がどれほどいるでしょうか」
市では、事前に知識のない人に役立つ対策も行っている。その一つが、道路や電柱などに貼っている津波避難経路路面シートだ。避難所や広域避難場所への経路が示され、現在は市内180カ所に設置されている。
津波避難経路路面シート
長崎:
「観光客の立場では、紙を渡されるより、目につくサインを増やしてほしいのではないでしょうか」
他にも、市内には随所に海抜の表示がある。
海抜の表示
まちなかの地図看板にも、避難所の表示が入っているものがある。また観光マップの中には、避難所が示されたものもある。
もう一つの対策が「声掛け避難」だ。
長崎:
「地元の方には、避難訓練をして逃げ方を身につけてもらいますが、避難するときには勝手がわからない観光客の人がいるはずなので、『こっちだよ』と声を掛けて逃げてくださいねとお願いしています」
市の「観光客等地震・津波対策ガイドライン」にも、「市民は、自らが率先して安全な高台や緊急避難場所に避難するにあたり、周囲に避難を呼びかけるなど、その場の状況でできる助け合いを行うものとします」と記述されている。
長崎:
「観光客が逃げ惑っていたり、逆走したりすると、自分たちの避難にもかえって時間がかかるなど、いい影響がないじゃないですか。観光客の方々を誘導することは自分たちの身を守ることにもつながる、という理屈で話をすれば、理解してもらえます」
スポンサードリンク