「共通性」を切り口とした双方向の観光促進策と航空便誘致の可能性
インバウンドにも活用できる「共通性」を活用した訴求手法
日清戦争の講和条約により、清国は台湾を日本に割譲することが決定された。その後1945年の日本敗戦までの50年間、台湾は日本の統治下に置かれた。この間、政府機関だけでなく民間の建築物、さらには交通・水利といった社会インフラが整備され、現在でもそれらの多くは保存の対象となり、今でも使用されているものも多い。数十年の時を経てこれら日本統治時代の建築物・構造物などハード面に加え、社会の仕組みも含めたソフト面も台湾の一部として定着し今に至っている。
こうした背景から、台湾にとってデスティネーションとしての日本が『同じだけど違う。違うけど同じ』ことにもつながり、台湾観光局が実施する前出のキャンペーンのコンセプトは、台湾からの訪日市場に対する誘客にも転用が可能であろう。旅行市場の成熟に伴い、旅行者の求めるものは多様化が進む。共通性に着目した観光促進手法成功のカギは、旅行者の多様な興味を満足させられるだけのミクロな情報の積み重なりであると言える。
共通性を切り口とした多様でローカルな観光コンテンツの蓄積と提示が、両国間の親近感をさらに醸成させ「多様な目的による双方向の長期的な交流人口の増大」に寄与し、さらには航空路線誘致にもつなげることが可能となってくる。
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