「共通性」を切り口とした双方向の観光促進策と航空便誘致の可能性
同じだけど違う。違うけど同じ。台湾と日本に会いに行こう!
これは本年、台湾観光協会が実施している観光促進キャンペーンである。
従来の観光促進策では、歴史、文化、自然などを背景とした観光地の紹介、またグルメやエステといった現地で受けられる各種サービスの認知度向上などを主眼に据えたものが主流であった。今回、同観光局では日本と台湾に共通する事柄をフックとし、誘客に向けたアピール度向上を図る手法を採用した。
具体的には、鉄道管理局、観光協会、旅行業協会と協力し、日本と台湾に存在する同名の鉄道駅をキーワードに台湾への旅を促進する「台日同名駅観光プロモーション」である。その内容とは日台で同名32駅と同じ名前の方「同名さん」を抽選で各駅1名決定し、計32名に駅長体験付の台湾旅行へ招待するプログラムである。今回はその内容のユニークさから各メディアが注目し話題性が高まった。
こうした手法は航空路線の誘致にも応用されている。
空港名が同じことから愛媛県の松山空港と台北市の松山(しょうざん)空港間における航空路線の開設へ向けた折衝が実り、昨年10月には「松山空港発、松山空港行き」のチャーター便運航が実現した。「松山」同士の関係は鉄道の分野にも影響を与え、台北松山空港に近い台湾鉄路局(台湾の国鉄に相当)の松山駅とJR四国・松山駅との交流深化にも寄与し、両「松山駅」の友好駅協定も締結されるに至った。
これらは日本・台湾間の共通性をテコに認知度ならびに訪問意欲を向上させる観光客誘致手法であり、歴史、自然、グルメに限らず、「言葉遊び」さえも観光促進上のアイテムとすることに成功した。
航空路線誘致に向けたシナリオ
上記の松山路線開設に当たり、愛媛県庁での記者会見でチャイナエアラインの董事長(会長)孫洪祥氏は航空便誘致のための指針を段階的に紹介している。
1. 従来の四国松山空港と台湾間の運航実績は年間4から8便程度の規模。
2. 次に年間25便の運航設定を目指す。
3. さらに春と秋に定期チャーター便の運航を目指す。(年間50便程度)
4. 最終的には、春、夏、秋、冬の1年間の定期便(週2便で、全104便)の運航。
5. 日本発市場と台湾発市場の規模が半々なら理想的。そのためには日本・台湾双方での努力が必要。
5番目のポイントは、日本と台湾では暦が異なり繁忙期が分散することも多いことから、年間平均搭乗率を高く維持できる効果が期待できることによる。
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