地域のやる気を引き出す「100円商店街」 考案者・齋藤一成さんに聞く、効果を最大化するためのポイント
新しいアイデア「クーポレンダー」
クーポレンダー。クーポンはすべて、市内の高校生が描いたイラストが使われている
現在、齋藤さんが考案し、力を入れている商品が「クーポレンダー」である。クーポレンダーとは、日めくりカレンダーの一枚一枚がクーポンになっているものである。あるスーパーマーケットでは、クーポンと引き換えに20円引きシールのシートをお客さんに渡し、店内の好きな商品にそのシールを貼ってもらい値引きをする仕組みにした。またある居酒屋では、クーポン一枚で焼酎ボトル1本がもらえるそうだ。
クーポレンダーは、来年は新庄市だけでなく、山形県鶴岡市、茨城県大洗町、京都府長岡京市などの商店街でも販売されることが決まっている。
齋藤:クーポンは、100円商店街と同じで、絶対にこうしなければいけないというものはありません。それぞれの店が考えたアイデアからできています。この事業は、まだまだ可能性があります。今後、さらに成長させて、導入地域を増やしていきたいと考えています。
齋藤さんは、クーポレンダーをさらに全国的に広げることを目指している。これまでは、カレンダー製作会社のロットの大きさの問題から、少ない冊数の製作が難しく割高になるため、検討したものの導入に至らないケースが多かった。齋藤さんは製作会社に直接交渉し、小さなロットの導入を進めている。これが実現すれば、少ない冊数から作ることができ、低いコストで導入しやすくなる。
100円商店街のように全国各地の商店街でクーポレンダーが販売される日もそう遠くないだろう。
齋藤さんは新庄市の商工観光課にも属しているが、AMPの活動と市職員としての仕事は区別しているという。
齋藤:市の業務では、私が商店街担当になってしまうとやりにくい場面も出てくるだろうという判断から、商店街活性化には関わっていません。ただ、商店街活性化のために市が動く場合は、AMPは南本町商店街の会員としてもちろん協力しています。
AMPは、市の業務とは関係なく、独立した形で活動していた。齋藤さんやAMPのスタッフが思いついたことを、AMPとしての判断で活動できるからこそ、自由な発想で活動できるのかもしれない。
まち活性化のための多くのアイデアを持ち、99%はまだ形になっていないと話す齋藤さん。今後、どのような企画が生み出されるのかが楽しみだ。
(取材・文/井手真梨子)
南本町商店街で「いす⁻1GP」を開催
AMP理事長の齋藤さんは、「いす-1GP」を主催する日本事務いすレース協会(JORA)の専務理事も務めている。
いす-1GPとは、京田辺市(京都府)のキララ商店街発祥の、事務いすを使った耐久レースである。現在は、国内だけでなく、台湾など国外でも開催されるようになり、今年はマレーシア、シンガポールでの開催が既に決まっている。
7月22日(土)に南本町商店街で行われたいす-1GP東日本大会には、20チームが参加し、熱戦が繰り広げられた。
日本事務いすレース協会専務理事の田原剛さん(左)、齋藤一成さん(中央)、日本ご当地キャラクター協会代表理事の荒川深作さん(右)
いす-1GPは、2時間で決められたコースをより多く回る、耐久レース。いすメーカーや市内外の企業、友人同士のグループなどが参加していた
コース横の飲食コーナーでは、市内の飲食店や菓子店などが露店を出していた
■取材対象者プロフィール
NPO法人AMPの理事長。新庄市商工観光課主任。
商店街活性化の三種の神器の一つである「100円商店街」の考案者。
内閣府 地域活性伝道師、総務省 地域力想像アドバイザー、中小企業庁 中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業・ミラポアドバイザー、独立行政法人 中小企業基盤整備機構 商業活性化アドバイザー(協議会)、日本事務いすレース協会(JORA)専務理事などを務める
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