「はじめてのコケ観察会」参加レポートin水元公園(東京都葛飾区)
休眠から目覚めるコケに驚き、エイリアンのようなコケに目を奪われる
今度は、歩道脇の小さな池にある岩に、乾燥したケギボウシゴケが生えていた。乾燥していると、白い毛のようなものが葉にまとわりついている。藤井さんが霧吹きで水を吹きかけると、白い毛は見えなくなり一瞬でみずみずしく膨らんだ! 乾燥した状態のコケは休眠しており、水がかかると再び生命活動を開始するという。しかし、ほんの一瞬で休眠状態から目覚めるというのは驚きであった。
▲ケギボウシゴケ(乾燥状態)
▲水を吹きかけると、一瞬でこの状態に変化した
そこから少し離れた歩道脇に、ノミハニワゴケがあった。何百本と伸びている胞子体*(ほうしたい)は、まるで小さな森のよう。胞子体の先についている小さな蒴(さく)には、外側と内側にギザギザ(蒴歯)が2列に並んでいて、エイリアンが口を大きく開けているようにも見える。蒴の部分をなでるように触ると、胞子がふわっと舞い上がった。
▲ノミハニワゴケ。コメバキヌゴケという種と近縁でよく似ており、見た目には違いが分からない。顕微鏡下で見て、葉の細胞の違いなどから見分ける
(注釈)
* 胞子体…受精後の雌株のからだから伸びる。その先端にある蒴には胞子が入っている。
どこにでもある公園は、絶好のコケ観察スポット
そして、最後のポイントである公園に向かう。きれいに整備されていて、公園内と周囲に何本か木がある。どこにでもある都会の公園、といった印象である。ここにも多くの種類のコケがあった。
周りの植木の裏にはジンガサゴケが広がっていた。このコケは、キャラクターのようで愛嬌があり、かわいらしい。個人的には、今回の観察会で見たコケの中で一番好みである。
さらに奥の木の根元には、ナミガタタチゴケがあった。きれいな明るい緑色で、ふかふかとして触ると気持ちが良い。ルーペで見ると、透き通った葉がとてもきれいだった。
このあたりは、普段人の立ち入りが少なく、踏まれることも少ないため、広い範囲にわたって成長していた。
▲ジンガサゴケ。帽子の下から黒い目玉がのぞいているようだ
▲ナミガタタチゴケ。葉が波打った形をしていることから名前がついた。葉は透き通り、とてもきれいなコケである
そして、公園の中心にある大きな木。この木の幹は、大部分が数種類のコケで覆われていた。
▲ヒナノハイゴケ。蒴の口はほんのりピンク色
▲タチヒダゴケ。参加者からは、「もこもことしてかわいい!」と声も上がっていた
▲ギンゴケ。コンクリートの上などにも生える、とても強いコケ。都会でもよく見かける
フィールドでの観察を終え、想像していた以上にコケが身近にあることに驚いた。今後、家の周りや散歩道などでコケを探してみたくなった。
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