茶の生産地におけるティーツーリズム
トルコでは、2段のやかんで沸かしたチャイ(紅茶)をチューリップ型の小さなグラスに入れて飲む
生産から消費に至る過程を学ぶ
茶の生産地には、摘み取られた茶葉を加工する「茶の製造」に関する施設があり、その施設が見学の対象になっている。茶園に隣接する茶工場では、摘み取られた生葉を加工する工程を見学することができ、その茶工場で加工された茶の試飲サービスなども提供されている。試飲サービスでは、栽培環境や摘採時期によって異なる複数の茶が用意され、その特徴を比較しながら試飲することができる。茶の製造施設では、製造工程を見学したうえで、試飲による茶を体験することができるため、茶の品質への理解にもつながっている。
また加工された茶が消費者に届くまでの「茶の流通・消費」に関する施設での体験も観光資源となっている。スリランカのキャンディやコロンボ、ケニアのモンバサの茶市場やオークションは、一年を通じて茶の取引が行われている。茶市場やオークションは、製造された茶の売買の場であると同時に、品評の場でもある。一方で、地域の人々が身近に茶を楽しめる場として、中国や台湾には茶館や茶芸館、トルコにはティーハウス、インドやバングラデシュにはチャイを販売する屋台のような売店があり、観光客も地域の人々と共に日常的に茶を楽しむことができる。
茶の歴史が豊かな生産地には、茶の生産から消費までの過程を、展示を通して学べる「茶の博物館」があり、その施設が観光資源となっている。中国の「国立茶葉博物館」をはじめ、スリランカの「セイロン紅茶博物館」、台湾には世界でもっとも大きな「坪林茶業博物館」などがあり、世界から見た自国の茶の位置付け、茶芸や茶器などの茶文化を学ぶことができる。
地域の茶や茶文化を丸ごと体験する
茶の生産地では、茶や茶文化に特化した「イベント」が観光の対象になっている。茶に関するイベントは、国際的で大規模なフェアや茶まつりから、国内あるいは地域内の小規模なイベントまでさまざまである。中国福建省の武夷山市や安渓県などでは、省や市、県と行政間が連携して開催する茶まつりがある。茶まつりでは、地域の茶の生産者や茶商が集まり、茶の試飲や商談だけではなく、茶の伝説、茶芸、茶を使った料理など複数のプログラムから地域の茶や茶文化を体験することができる。
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