コレクター急増中 ファンが夢中になるマンホールカードの仕掛け

山田秀人下水道広報プラットフォーム(GKP)企画運営委員

2016.12.06

カードに盛り込まれたヒットを生む仕組み

コレクションカードの要素を持つ

マンホールカード第3弾
マンホールカード 表面(山梨県上野原市・第3弾)

MHC-出力用(東京)
裏面

 山田さんの前職はおもちゃ屋さん。マンホールカードには、おもちゃ屋さんで得た知識をふんだんに入れているそうだ。

山田:マンホールカードは、一言でいうとコレクションカード型のパンフレットです。カードには戦うもの、集めるもの、テレビゲームにつなぐもの、ゲームセンターで遊ぶものなど、いろいろな種類があります。マンホールカードは、その特性を生かしてコレクションカードという位置づけにしています。つまり、集めていくことの楽しさを追及したカードで、集めてもらうことに究極的にこだわっています。さらに、マンホールカードは、訪れた人にその土地のマンホールを自治体が紹介するために無料で配布されるパンフレットでもあります。

 マンホールカードは自治体にとってもメリットが大きい。自治体独自でパンフレットを作成するより、カードを作成した方が安価に済むこともある。さらにインターネットでカードの情報が全国に広がるため、全国に向けた広報にもなる。

人を動かす動機をつくる

 現在、カード目当てで配布場所を訪れるファンの約6割が県外から訪れていると言われている。ファンは配布場所を訪れた後、カードに書かれている位置コードを基に、マンホールを見ようと実際に足を運ぶ。人を動かす仕組みがあるのもマンホールカードの特徴だ。

山田:配布場所はGKPホームページでのみ公開していて、下水道関連施設(役所の下水道関連部署、下水道処理場、下水道展示施設)、または観光案内所としています。また配布場所の設定にはもう1つルールがあり、1カ所で1種類しか配布できないことにしています。なぜかというと、全く同じカードを複数カ所で配ってしまうと、そのうち1カ所に行けば他の施設へは行かなくなってしまうためです。ファンたちは、マンホールカードがなければ行かなかったような場所に行くことになるのです

 ある番組でマンホールカードのファンを追ったところ、70代くらいの男性が「ここにカードを取りに来るのは3度目なんです」と嬉しそうに語っていたという。マンホールカードは、ファンの方を夢中にさせる要素があるようだ。

徹底的なユーザー志向

マンホールカード第3弾
マンホールカードと一緒にパンフレットを配布している(倉敷市)

 山田さんは、カードのデザインにも、元おもちゃ屋さんならではの強いこだわりをみせた。それは徹底的なユーザー志向。これがファンの心をつかんでいる要因のようだ。

山田:マンホールカードは徹底的なユーザー志向を意識してつくっています。マニア向けではなく一般向けにしたかったので、シンプルなデザインにこだわり、表にはマンホールの写真、設置してある場所の位置コード、裏にはそのマンホールのデザインの由来が書かれています。ポップな色を使って、とっつきやすいイメージにもしています。
 実は自治体からは、裏はまちの説明にしたい、観光情報を入れたいなどの要望があったのですが、すべてお断りしています。もちろん自治体のパンフレットですから気持ちもわかるのですが、ユーザーが求めているのはあくまでもマンホールカードであり自治体カードではないからです。

 結果的には、これが功を奏し、このデザインを絶対ルールとしたことで、自治体が自分たちで配り方を工夫するようになりました。折り線に沿って折るとカードホルダーのようになるパンフレットや、観光パンフレット、マンホールマップ、下水道パンフレットなど、カードと一緒に配ることで訪れた人に伝えたいことを自分たちで伝えるようになりました。また、ファンのコレクション意欲を高めるためには、マンホールカードはどの自治体でもらっても、同じ質感、同じ寸法、同じテイストである必要があります。そのため、カードは一つの会社が印刷し、全国の自治体へ送っています。

 ファンは、コレクションすることの楽しみ、実際に土地を訪れないと手に入れることができないという希少感、そして、期待を裏切らないカードの質などの仕掛けにより夢中になっているのだろう。

山田:正直に言うと、最初、マンホールでカードを作ってくださいと言われたときに、良いものになるという自信はあまりありませんでした。もし、自治体がカードの作成を希望してきたマンホールが色のないデザインばかりだったら、いくらカード自体をポップにしても「やっぱり面白くないね」ってなると思うんです。一発目で大体ブランドが決まってしまいますから。
 それで、第1弾は私の方でマンホールを選び、各自治体に依頼しました。第2弾ではマンホールカードの動きを知った自治体から自分のまちも観光・下水道広報に使いたいと応募があり、40自治体44種類をつくりました。第3弾では、40種類を募集しましたが、300件くらいの自治体から応募があり、シリーズ初の選考になりました。

 マンホール、おもちゃ、そして広報、すべてを熟知している山田さんだからこそのこだわりとアイデアで、ここまでの反響を得ることができたのではないか。

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